私自身のコーヒー焙煎歴は、2010年に初めて手回しのサンプルロースターを購入したことに端を発します。
それまで単なるコーヒー消費者だった自分が、なぜ焙煎を始め、そして豆を販売するに至ったのかを振り返ってみたいと思います。
○コーヒー焙煎以前
普通にコーヒーを楽しむ愛好家でした。ただ、なんでもよいというわけではなく、やはりおいしいコーヒーを探し求めていたように思います。
しかし、十分な知識があったわけでもなく、知識をつけようと思ったこともなく、普通にスーパーのシングルオリジンのコーヒーを飲んでみたり、たまに自家焙煎店に行ってコーヒーを購入したりしていました。
タンザニアのコーヒーが好きでした。どこの自家焙煎店でもタンザニアコーヒーは酸味を残すように仕上げていてそれが美味しかった記憶がずっと残っています。
ブルーマウンテンも時々購入していました。購入していた自家焙煎店のブルーマウンテンも、酸味を残した風味でしたが、こちらはタンザニアコーヒーほどの感動は無く、ブルーマウンテンは高価=ブランド品を飲むステータスにあこがれていたのかもしれません。
当時、コーヒーのオークションなどまだ知られておらず(コピ・ルアックはレアすぎて入手できませんでしたし)、ブルーマウンテンが最も高価なコーヒーの代表として不動の地位を築いていたように思います。
○2010年前後 手回し焙煎機購入
ユニオンのサンプルロースターと呼ばれるもので、ガスコンロの上に載せてハンドルを回しながらコーヒーを焙煎するものです。
なんで突然コーヒーの焙煎を始めたかというと、この前後にとある方から「コーヒーの輸入をしてみないか?」のようなビジネスの話が舞い込んできたせいでした。
話を聞いてみると、どうやら現地で焙煎したコーヒー豆を輸出したいとのことでしたが、サンプルのコーヒーを色々な人に試飲してもらったものの、ことごとく不評。たまたま見本でもらった生豆があったので、これを焙煎したらどうなのか? ということで、サンプルロースターを購入して、手探り状態で焙煎してみました。
これが思ったより美味しい。
この時に、コーヒー豆は消費地で焙煎して、即座に販売する方が美味しい(鮮度も保てる)こと、日本人には日本人の好みの味があることを初めて認識しました。
結果的に、このコーヒーを輸入する話は流れてしまったのですが、この体験をきっかけに私自身はすっかりコーヒーにのめりこんでいくのでした。
○2012年 手網焙煎に変更
最初のオリジナル焙煎コーヒーが意外に美味しかったのに味を占めて、自分で生豆を探して焙煎を始めました。
しかし、どうやっても何度繰り返しても美味しくない。
最初のコーヒーは美味しかったのに・・・
今思えば美味しくない要因はいくつも思い当たるのですが、そもそも手回しサンプルロースターは、焙煎条件を一定にするのが極めて難しいのです。
一番の問題は、煎り止めのタイミングで即座に焙煎を止めることができないこと。
重さもそれなりに合って、炎であぶられて熱々のサンプルロースターをひっくり返して豆を取り出さなければならないのですが、ひっくり返している間にも焙煎は進行してしまう。しかもその作業はやけどの危険を伴うので、手早くなんてできない。
何とかならないものか、そう悩んでいた時に巡り合ったのが、手網焙煎でした。
東京、浅草橋にある「ワイルドコーヒー」という自家焙煎店で、手網焙煎の講座をやっていたのでさっそく受講。
この時に頂いたコーヒーが何とも言えず美味しく、これなら焙煎もうまくいく!とさっそく自分でも取り組んでみたのです。
量は1回に100g程度でしたが、コツさえつかめば手網焙煎は非常にお手軽で、美味しいコーヒーを作ることのできる方法でした。手網焙煎のおかげで、自分の創るコーヒーに自信が持てるようになったのです。
○2012年秋 「東京タウンコーヒー研究所」発足
手網焙煎を初めてしばらく経った時、知り合いから「コーヒーを焙煎するマニアがいる」と紹介された人物がいました。この人物と意気投合し、「コーヒーを淹れて楽しむイベントをやろう!」と始めたのが、「東京タウンコーヒー研究所」の「コーヒーを楽しむ会」でした。
イベントで使うコーヒーはすべて自分たちが手網で焙煎。
美味しく淹れる方法も、すべて手探り状態でしたが、イベントはまあまあ好評でした。
最大の悩みは、イベント会場の手配。
収益を考えると大人数の方が良いのですが、講師2人ではどう頑張っても生徒20人くらいの対応が限度で、その程度の会場を都心で確保するとなると、採算が取れない。
また、会場を確保しても人が集まらなくて・・・などとなかなか大変でした。
とはいっても、コーヒーのイベント自体を開催する事が楽しく、主催側はほぼ毎回採算度外視で行っていました。
○2014年 小型焙煎機を導入
イベントで使うコーヒーの量も増え、手網焙煎ではキツイ量になってきました。
その時に見つけたのが、ワイルドコーヒーが販売を開始した
「1ポンド焙煎機」
この焙煎機以前にも、「ナナハン」と呼ばれる1kgの焙煎ができる小型焙煎機がリリースされていましたが、価格が100万円近くでちょっと手を出しかねていました。
しかし、いい加減焙煎機が欲しい。
そう思いつめていた時に、1ポンド焙煎機が登場したのです。
お値段は40万円くらいと決して安くはありませんが、手の出せる価格。
これは買うしかない! そう決心して購入を決めました。
そして忘れもしない2013年のクリスマスの日。
ついに焙煎機が届いたのでした。
この翌年からの記録が、このブログには記してあります。
☆始めは台所の片隅に置いて、使うときに引っ張り出していました
コーヒー焙煎機
☆何を悩んでいたのか、今となっては謎です汗
ていうか、まだ焙煎条件が安定していなくて、試行錯誤しては失敗していたんです。
コーヒーの焙煎、苦労が絶えません^^
☆焙煎機の使い勝手については、気になったら即座に改造を加えていきました
焙煎機 ちょっとずつ改造
☆今振り返ると焙煎技術もまだまだでしたね。
この時の味のばらつきは、豆の品質よりも焙煎条件の不安定さの方が大きかったと、今は考えています。
本日の焙煎
☆購入した「1ポンド焙煎機」にはサイクロンも豆の冷却器も、ついていませんでした(現在販売されている後継機にはついています)
そこでサイクロンは自作。
豆の冷却器も自作。
焙煎機 ちょっとずつ改造2
☆最終的には、自宅の裏庭に焙煎用の小屋を建てて、焙煎機を引っ越し
コーヒー焙煎機を引っ越し
☆焙煎条件に気圧が影響するのでは?と疑問を持ち、気圧計を購入
(現時点では気圧はあまり関係ないと考えています(笑))
焙煎条件を再確認
・・・
こんな感じで、焙煎機も焙煎環境も進化してきました。
う~ん、我ながらよくやってる?
ハードの部分についてはこんな感じです。
次回はソフトの部分「焙煎レシピの変遷」を振り返ってみようと思います。