「 2019年12月 」一覧

コーヒーの酸味、本当は美味しい-一番誤解されている風味-


こんにちは!

今回はコーヒーの酸味についてお話しようかと思います。コーヒーの酸味と聞くと「私苦手」と答える人が半数以上いる気がしますが、その大多数の方が酸味を誤解されていることとおもいます。本当は美味しいはずのコーヒーの酸味がどう誤解されているのか?コーヒーの本来の酸味とは? この辺りを解説いたします。

コーヒーの本来の酸味は果物のような風味

多くの方がイメージするコーヒーの酸味は、下に刺さるようなドギツくて、しかも嫌な後味がずっと続くような、そんな味ではありませんか?

その酸味、十中八九コーヒーが劣化したときに発生する酸味で、コーヒーが本来持っている酸味とは全く異なるものです。

コーヒー本来の酸味は、フルーツのような風味で、柑橘系の風味、ベリーのような風味、ミルキーな(ヨーグルトを連想させる)風味などで表現されます。

本当の酸味を知りたい場合は、一度「スペシャルティーコーヒー」を扱っている自家焙煎店に足を運んで、爽やかな酸味のコーヒーを探してみましょう。

大事なことは、「焙煎してから日が経っていない」コーヒー豆を入手することです。スーパーに並んでいるコーヒーではだめです。流通の都合上、焙煎してから2週間は経ってしまっているものが普通ですので。

是非一度、自家焙煎店に足を運んでみて、酸味のコーヒーを探していると聞いてみましょう。きっとお勧めのコーヒーを提案してくれることでしょう。

コーヒーの酸味は、焙煎によって現れる

元々のコーヒー生豆ですが、別に酸っぱくはありません。コーヒー生豆を焙煎することによって、糖質(多糖類という)成分が分解して酸に変わります。この時にできる酸の成分によって、コーヒー豆の風味が決定されます。焙煎の火加減によっても多少の違いは出てくると思いますが、風味は豆本来の成分に由来するため、産地によって決まると言っても間違いではないでしょう。

コーヒーの酸味は、焙煎度が進むにつれて揮発または分解し、薄れていきます。

よって深煎りの豆では酸味はほとんど感じません。稀に深煎りの豆でも何となく酸味を感じることがありますが、元々の豆の酸味が強かったり焙煎のやり方にも依存してきますので、深煎りで酸味は感じない事の方が多いです。

むしろ、劣化による酸味の方が感じるかもしれません。劣化による酸味は舌に刺さるような、いやな後味として残る酸味ですので、豆本来の酸味とは全く異なりますし、簡単に区別がつくと思います。

要は「うえっ」と思う酸味は劣化した酸味。一方で「なんか良いかも」みたいな酸味は豆本来の風味、そう理解しておけば大丈夫です。人間の感覚って意外と正確なので、自分の感覚を信じていただいて大丈夫ですw

産地によって異なる、コーヒーの酸味

コーヒーの酸味は、焙煎によってはじめて現れるのですが、元となる成分が異なれば現れる酸味も異なってきます。

過去に自分が経験した、コーヒーの酸味の種類を紹介したいと思います。

柑橘系、シトラスのような酸味:

ケニヤ

元々ケニヤのコーヒーは品質が高いことで知られていますが、ケニヤコーヒーから感じられる酸味はほとんどが柑橘系です。爽やかで、ハマる人はハマるでしょう。

プラム、ベリーのような甘酸っぱい印象の酸味:

タンザニア

キリマンジャロのブランドで知られるタンザニアコーヒー。こちらは、ケニヤと異なり、どちらかというとマイルドで、甘味の印象が感じられます(実際は甘くないけど)。

フローラル、花の香の中に感じられる酸味

エチオピア

もう一体何言ってるんだかって感じですが、何とも表現が難しいんですよ。バラのような花の香りの印象に重なる酸味なので、果物に例えると、チェリーなのかな?そんな印象です。レモンティーも近いかもしれない。

ミルキー、ヨーグルトを連想させる酸味

コスタリカ

こちらも厳密にはヨーグルトの酸味とは違うんですが、印象として「う~ん、ヨーグルトっぽいかも」みたいな感じです。実際にミルクを入れると意外と合うので、ヨーグルトとか、ミルキーという表現が近いのかなと思います。

 

とりあえず、自分が経験した事のある酸味について、ごくごく一部の産地ですが紹介してみました。これ以外の産地のコーヒーでも、勿論酸味はありますし、「これは素晴らしい」と思えるものも沢山あることでしょう。

是非コーヒーの酸味を味わってみて、コーヒーライフをより充実させてみてはいかがでしょうか?

今回は、コーヒーの酸味、についてお話いたしました。

一番誤解されている風味だと思いますので、ポイントとしては「焙煎して日が経っていない」新鮮な焙煎豆をお求め頂いて、ぜひコーヒーの酸味を楽しんでみてください。

それでは!



おすすめのコーヒーはどれですか?


こんにちは!

イベントなどコーヒーの提供を行っていると、必ず聞かれる言葉です。

おそらくですが、「自分はコーヒーの知識は無いので、まずは無難におすすめされるものを飲んでみようかな」という心理の基に「おすすめ」を尋ねてくるのだと思います。

しかし、コーヒーを提供する側にしてみると、この質問は「結構悩ましい」です。こちらのお勧めが、お客様の好みに合う保証はどこにもなく、素直におすすめを購入してくれるとも言い切れないからです。

今回は、「お勧め」を聞いてくるお客さんの好みを探る、というテーマでお話してみようかと思います。

この記事はコーヒーを提供する側の立場で書いていますが、お客さんの立場に立って「自分ならどうこたえるだろう?」と考えながら記事を追っていt抱ければ、自分の好みのコーヒーに行きつくかもしれません。

(無難な) 定番コーヒーというもの

ほとんどのコーヒー屋さんは、いわゆる「定番」のコーヒーを持っていると思います。これはほとんどの場合「酸味が無く、かといって深煎りでもない」コーヒーであることがほとんどです。

お勧めは?と聞いてくるお客様が、何でも受け入れてくれるかというと、全然そんなことはありません。特に酸味に関しては、多くのお客様が苦手意識を持っています。逆に苦いコーヒーを苦手とするお客様も少なくなく、一番無難な焙煎度の「酸味は無いが、深煎りでもない(苦くない) コーヒー 」を用意して、「お勧め」攻撃に備えているのですw

自分は「定番コーヒー」をお勧めしない

ここからは自分なりのやり方です。ここで定番コーヒーをお勧めして購入していただいても良いわけなのですが、自分だったらほぼ「酸味は 苦手ですか ?」と尋ねます。もし「酸味は好きです」問う返事が返ってきたら、もっと浅煎りで酸味のあるコーヒーを最初に試飲してもらいます。

なぜ定番コーヒーを最初に試飲してもらわないのか?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、コーヒーは深煎りの方が味のインパクトが強く、浅煎りのコーヒーは風味が弱い(良く言えば繊細)なものが多いからなんです。なので、自分はなるべくだったら浅煎りのものから試飲していただくようにしています。

しかし、「酸味が苦手」な方に無理やり酸味の強いコーヒーをお勧めするのもどうかと思いますので、酸味が苦手な方でしたら、「定番のコーヒー」が最初の試飲するコーヒーになります。

定番のコーヒーを試飲していただいた後に「もっと苦味のあるコーヒーが良いですか?」と尋ねることで、深煎りのコーヒーをお勧めすることもあります。

結果的に、浅煎りの酸味が好きな方は浅煎りのコーヒーを気に入って購入することが多く、深煎りの苦味ののコーヒーが好きな方は深煎りのコーヒーを購入することが多くなり、いわゆる「定番」のコーヒーは、自分の場合はほとんど試飲用ですw

結果的に「定番」=人気とはならない

勿論定番コーヒーを購入していただく場合もありますが、自分の場合だと、一番人気があるのは深煎りのコーヒーで、その次が酸味のコーヒー、同じくらいに定番コーヒーが来ます。

ですので、自分も定番の味のコーヒーというものは一応ありますが、定番だからと言って、他よりもたくさん作るということはしません。浅煎り、定番(中深煎り)、深煎りどの味のコーヒーも大体同じくらいの量を作って用意しておきます。

「おすすめ」を尋ねてくるお客様にもしっかりと好みの味があり、その好みを聞き出すような誘導方法で、的確な味のコーヒーをお客様には選んでいただきたいものです。

今回は、おすすめを尋ねられた場合の自分の対応方法、お客様の好みを聞き出すコツ?のようなものを紹介してみました。

是非皆様も、自分の好みの味をじっくりと考えてみて、お店の人に「こんな味のコーヒーが欲しい」と伝えてみてはいかがでしょうか?

それでは!



コーヒーを淹れるときに必要な豆の量はどのくらい?


こんにちは!

今回は、コーヒーを淹れるときの豆(粉)の量についてお話したいと思います。

自分は時々、こんな質問を受けることがあります。

「 コーヒーを淹れるとき、一杯当たりの量をどのくらいにしたら良いのかわからない。ネットで調べたのだけれど、何故か上手くいかなかった。 」

この手の話って、解決しているようで全然解決していないんじゃないかなと思います。

先に結論を言ってしまうと、「よく言われる1杯10g」という量は間違いです!

こんなお話をしていこうかと思います。

ドリップで1杯10g、これは間違い!

厳密にいうと、完全な間違いではありませんが、大きく誤解を与えていると思いますので、間違い!と自分は主張いたします。

自分がコーヒーを淹れる場合ですが、4杯分を入れる場合は40g、つまり1杯当たり10gの粉を使います。

しかし、1杯分「だけ」を入れるのならば、コーヒーの粉は15g使います。

もうお分かりかと思いますが、コーヒーの粉の量は、同時に淹れる杯数によって異なってきます。

自分が入れる場合でしたら、

・1杯分:15g

・2杯分:23g

・3倍分:32g

・4杯分:40g

・5杯以上:人数×10g

このようになります。

しかしながら、ネットで拡散されているやり方の大多数は、「1杯10~12g」と謳っている記事のなんと多いことか。確かにコーヒーは淹れられますが、かなり薄いコーヒーになるでしょうね。

これは推測ですが、一杯当たりの量に違いがあるということは「面倒」につながるため、強制的に規格化しているんじゃないでしょうか?

かつて、コーヒーが一般家庭に普及した際には、家族分のコーヒーを淹れることが出来れば良かったので、家族分、つまり4,5人分のコーヒーを淹れられる量をそのまま、杯数が少ない場合にも当てはめてしまったのだろうと推測いたします。

さらに言ってしまうと、現在広まっているコーヒーの淹れ方には、「濃さをどうやって調節したら良いか」の部分が完全に抜け落ちています。濃いコーヒーが好きな方が、1杯10gの記事を信じて自分でコーヒーを淹れてみたら、上手く行かないと思ってしまうのも当然です。

原因は淹れ方にあるのではありません。読んだ記事に問題があるのです!

コーヒーの挽目は中細挽き、の嘘

もう一つ、自分でドリップをするときに上手く行かない原因がここに隠れています。スーパーで販売されているレギュラーコーヒーの挽目、そしてネット上で広く謳われているコーヒーの挽目、なぜか「中細挽き」なんですよね。

こんなに細かい挽目のコーヒーでドリップしたら、ほぼ確実に失敗します。

お湯を注いでも、粉が細かすぎてお湯が上手く下に落ちず、側壁に流出してペーパー伝いに落ちていく様子が容易に想像できます。多くの方がコーヒーメーカーを使ってドリップしているとは思いますが、規定量入れても思い通りの味にならないのではないでしょうか?

コーヒーの挽目は、粗挽きが基本です。お湯を注いで、粉の上に一瞬お湯がたまり、その後すぐにスーッと吸い込まれていくくらいの粗さが理想的です。

コーヒー豆は油分が非常に多く、細かく引いてしまうとお湯を吸収しにくくなり、簡単に目詰まりしてしまいます。

ですので、粗挽きがちょうどよいのです。粗挽きでドリップすると、すっきりとした味わいのコーヒーになります。濃くしたい場合は、細かく挽くのではなく、粉の量を増やします。

ですので、粉で購入する場合は、なるべく粗挽きのものを選ぶようにしましょう。豆を挽いてくれるお店なら、粗挽きをお願いするのが良いと思います。

今までとは挽目が変わるので、当然ながら同じ量の粉を入れたら、薄く感じることになります。その場合の淹れ方を解説していこうと思います。

コーヒーの好みの濃さを探る場合、まず濃いめのコーヒーを淹れてみる

コーヒーの好みの濃さの適量を探る場合、一回で正解にたどり着こうとしては行けません。3回くらいで好みの味を見つけるのが理想です。冒頭に上げたコーヒーの量

・1杯分:15g

・2杯分:23g

・3倍分:32g

・4杯分:40g

・5杯以上:人数×10g

まずは、これに+1g追加して始めてみましょう。つまり2杯分を作りたかったら、24g使うということです。これでドリップすると、結構濃いコーヒーが入れられると思います。

この濃さが気に入ったなら良し、濃すぎると思ったら、この回ではお湯を少し足して、自分の好みの濃さに薄めましょう。濃いコーヒーを淹れてしまっても、お湯で薄めて適切な濃さに直せますが(お湯の淹れすぎに注意)、薄くなってしまったコーヒーはどうやっても濃くすることはできません。

そして次に入れるときに、粉の量を1g減らしてドリップします。

このように、自分が気に入る濃さになるように、ちょっとずつ粉の量を変えてドリップし、自分の好みの味になる粉の量を決めます。

ポイントは、「濃さの調節は粉の量だけで決める事」です。挽目を変えて濃さを変えると、適切な場所を見つけるのが困難になってきます。挽目を変えるのは、どうしても風味に納得がいかない場合など、大幅に味を変えたい場合にのみ行うようにしましょう。

今回は、コーヒーの粉の量について、コーヒーの挽目について、そして好みの濃さを探る方法について解説してみました。

ネットで広く謳われている、いわゆる定説には結構間違いがあって、それが全く改善されることもなく、あたかも真理のように広まっていることが良くあります。情報を鵜呑みにせず、ぜひ自分なりの方法で正解を探り当てていただければと思います。

今日はこれにて。

それでは!