コーヒーの焙煎 味作りのポイント(3)


前回は焙煎全体の流れを説明したので、今回から各ポイントの詳細を説明したいと思います。
なお、この方法はあくまでも自分の焙煎機に準じた方法ですので、その点十分にご留意願います。

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前回の記事:
☆ 自分の焙煎の考え方、焙煎の概要
・コーヒーの焙煎 味づくりのポイント(2)
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自分の焙煎機の特徴:

・半熱風器、超小型で最大焙煎容量は550gです。しかし通常の焙煎では280g以上やりません。
・投入280gで出来上がり230g位、販売用200g、味確認用に30g取ります。
・小型ゆえに熱容量が小さく、その分を火力で補っている部分はあります。したがって、大型の焙煎機ならもっと火力を抑えても、同じようなプロファイルになるとは思います。

あともう一つ注意点が。この焙煎プロファイルは「スペシャルティーコーヒー用」です。
コモディティーコーヒーにこの焙煎方法を適用してしまうと、渋みやエグ味が強調されて、たぶん飲めないと思います。

品質の良い豆を使用する焙煎方法だから、未完熟豆の渋みや、欠点豆のエグ味がなく、豆自身の風味を色濃く残して美味しいのです。その点も十分にご留意ください。

それでは、各工程を掘り下げてみようと思います。

※追記(2016.12.23)—–
検索エンジンのトリックで、このページが人気になっていますが、正直言ってここだけ読んでも何を言っているのかわからないと思います。是非先にこちらに目を通していただければと思います。

☆直火式、半熱風式等の焙煎方式について
・コーヒーの焙煎 味づくりのポイント(1)

☆自分の焙煎の考え方、焙煎の概要(ここはぜひ目を通してほしい)
・コーヒーの焙煎 味づくりのポイント(2)

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0.準備
欠点豆の除去はわかりますよね。スペシャルティーコーヒーといえども欠点豆が数%程度混入しています。美味しいコーヒーから欠点を除去して、よりおいしいコーヒーに仕上げようというのが狙いです。

保温庫に入れる目的は、そもそも夏と冬とで焙煎条件が大きく変わってしまうのは、生豆が外気で温められたり冷やされたりするからでは?と疑問に思ったのがきっかけでした。生豆を専用の定温庫で保管できるのであれば理想的ですが、残念ながら私の生豆倉庫は外気の影響を受けてしまうので、豆を投入する直前に温度を一定にすることで通年で焙煎条件を揃えるようにしています。

1.投入
コーヒー生豆を常温から焙煎するということは、まずないでしょう。非常に時間がかかるうえに、美味しく焙煎できないからというのがその理由です。焙煎機をあらかじめ温めておき、予熱で一気に目的の温度まで生豆を温めるのが一般的です。

熱容量に余裕のある焙煎機ならば、ある温度まで温めておいてから火を止め、そのあとに豆を投入します。私の焙煎機は熱容量に余裕がないので、火を止めずにある温度を維持しておいて、そこに豆を投入します。豆を投入した直後に一気に火力を上げます。

生豆を投入すると焙煎機の温度は急激に低下します。焙煎機の温度と生豆の温度が平衡になり温度変化が昇温に転じる温度を、中点またはターニングポイントといいます。

中点温度を高め(110℃以上)にとると、マイルドな口当たりのコーヒーになり、低め(100℃以下)にとると、スパイシーな風味が強く出てきます。特徴のある風味を狙うなら100℃あたりを狙うのもよいかと思います。ただ、直火式焙煎機だと中点変化による風味の変化は感じにくいように思います。逆に中点を下げすぎると、不快な渋みが強調されてしまうこともあるので、直火式焙煎機ではあまり極端なことはやらない方が良いかもしれません。

火力を上げることで中点温度が変わることはほとんどありません。したがって中点温度は焙煎機の予熱温度に左右されます。それにもかかわらず火力を上げる理由はなんなのか?理由は次の初期加熱の項でまとめて説明することにします。

2.初期加熱
ここで初期加熱と言っている領域は、豆を投入した直後から中点を通過して第一反応帯に到達するまでを指します。したがって、投入の項と話が前後している部分もありますのでご了承ください。

投入時に豆を加熱する理由ですが、先に述べたように私の使用する焙煎機は蓄熱量(熱容量)が小さく、投入時の熱量不足を補うためというのが一つ。中点を通過したら速やかに第一反応帯の温度領域に豆温度を移行させたいというのがもう一つの理由です。

中点付近の温度領域(100℃付近)では、生豆を構成する繊維がガラス質からゴム質へと状態変化します。この状態変化に多くの熱を奪われるので、十分な熱量を与えておかないと思ったように温度上昇しないという事態が起こります。中点通過後に加熱するという方法もありますが、私の焙煎機の場合それでは間に合わないので、豆投入直後から高火力で熱エネルギーを与え続けるということを行っています。

ずいぶん長くなったので、今回はここまで。次回は第一反応帯の詳細についてからお伝えします。
 
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続き:
☆ 全体の流れを各項目ごとに詳細説明2(3.第一反応帯)
・コーヒーの焙煎 味づくりのポイント(4)
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