「 2017年09月 」一覧

スペシャルティーコーヒーの祭典『SCAJ2017』に行ってきた


年に一度のスペシャルティーコーヒーの祭典である『SCAJ2017』が、東京ビッグサイトにて9月20~9月22の期間開催されました。
私も、9月22日に会場に行ってきましたので、簡単ながら(そしてかなり偏ってますが)レポートしたいと思います。

自分の場合、商談や新商品を探すというよりは、この期間中に開催される競技を見に行く目的の方が大きいのですけれどね。

ちょっと気になった商品

コーヒー器具で気になったものを紹介したいと思います。
あくまで「気になったもの」であって、良いかどうか、使うかどうかは別問題ですが(;^_^A

・セラミックフィルター

これはペーパードリッパーに乗せて使用するフィルターです。同様のものに金属フィルターがありますが、目が粗いのでどうしても微粉が通過してしまいます。これは金属フィルターより目が細かいので、微粉が通過しませんね。ペーパーフィルターと違って、アロマを含んだ油分も通過するので、よりまろやかなコーヒーをお手軽にいただけます。
唯一の難点は、丁寧に洗わないとフィルターが詰まってしまって使えなくなりそうです。

・和紙のフィルター

和紙で出来たペーパーフィルターです。極薄の和紙で出来ているため、通常のペーパーフィルターと異なり油分を吸着しません。コーヒーのアロマを含んだ油分も抽出できるのは(セラミックフィルター共に)ポイント高いです。折り紙の要領で自分で折って使うもので、非常にオシャレです。おもてなしの一杯を抽出する際に使えるかもしれません。ただ、あまり粉を細かくしすぎると目詰まりして破けてしまうそうで、粗挽き推奨とのこと。

難点は、お値段ですね。

とにかく高い!1枚500円です。

500円を使い捨てるなんて、普段飲みには到底使えません。高級レストランとか、おもてなしとか、特別なシチュエーションでの用途に限定されるでしょうね(;^_^A

・名バリスタの腕前を見せていただきました。美味しいカプチーノ

商品ではありませんが、京都の「小川珈琲」ブースにて、バリスタの村山さんにカプチーノをいただきました。
村山さんは2010年に「ワールドラテアートチャンピオンシップ」で優勝された、ラテアート世界チャンピオンの腕前を持ったバリスタです。

いやもう、目の前でラテアートを披露いただいて感激です!

アートとしてだけではなく、このカプチーノも非常に美味しくて、お代わりを頂きたいくらいでした(;^_^A

このラテアートの難点は・・・京都に行かなければ頂けないことでしょうか? 他のお店にも出張しているのでしょうか? いずれにせよ、村山さんは一人しかいらっしゃらないので(;^_^A ファンの一人として、ぜひ京都の小川珈琲を訪ねてみたいとは思いました。

見たかった競技「ローストマスターズ・チームチャレンジ」

コーヒーの焙煎を生業にしたい自分としては、この競技は外せません。これは日本全国の焙煎士がエリアごとにチームを組んで、一つのお題に取り組んで競い合うという、SCAJ恒例のイベントです。

・今年のお題はこちら↓

「ブレンドを制する者は焙煎を制す!」
かっこいいんだかどうなんだかわかりませんが、なんかすごそうですね(;^_^A

要は、お題として与えられた生豆を使い、ブレンドコーヒーを作ってその風味を競うというものです。
お題のコーヒーですが・・・
・ブラジルCOE(カップオブエクセレンス)入賞豆「ファゼンダ・タンケ」
・ルワンダ豆
・グアテマラ豆

ブラジル豆以外は、具体的な地域の説明はありませんでした。もしかしたらコマーシャルコーヒーを使ったのかもしれません。

・まずはプレゼンテーション

この競技では、各チームがどのように焙煎を行い、どのような風味のあるコーヒーを設計したのかを最初にプレゼンします。
のちの試飲では、傍聴者が実際に設計通りの味になっているのか、そして美味しいのかを評価します。

こんな感じで、焙煎プロファイルとブレンド比率、そして得られた風味を発表します。

写真撮り忘れましたが、今回の協議では傍聴者の審査だけではなく、プロのカップテイスターが審査員として招待されており、各チームのコーヒーを評価します。

賞としては2種類あり
・オーディエンス大賞
・審査員大賞
がそれぞれ選ばれます。

・では、実際に試飲してみましょう!

各チームの説明が一通り終わると、一斉に机が並べられ、各チームが舞台裏でせっせと準備していたコーヒーを参加者全員が試飲する時間に入ります。

もう競技コーナーに傍聴者が一斉に押し掛けるので、大混雑です(笑)
各チーム一杯ずつコーヒーを頂いて、慎重に味を確認しました。
たぶんお代わりをもらいに行っても良いんだとは思いますが(笑) 最低7杯飲むので、その上にお代わりとか無理です(;^_^A

自分の席にコーヒーを持ち帰ってじっくりと風味を確認します。コーヒーの風味は、熱い時と冷めた時で異なってくるので、時間をかけて飲み比べてみます。

この時に確認するのが、各チームが目指した風味がきちんと表れているかですね、それはこちら↓

そして投票!

自分は北海道チームに投票しました。どのチームもミルクやチョコレートの風味を謳っていたのですが、北海道チームのコーヒーが一番はっきりとチョコレートの風味を感じられ、バランスが良かったので。

・気になる結果ですが・・・

・オーディエンス大賞

東北チーム!

・審査員大賞

北海道チーム!

となりました!自分の推していたチームが賞を取ったのはうれしい限りです(#^^#)

全体的に見て

・規模は去年よりやや縮小した印象・・・
去年と比べると、参加している企業もやや減り、人の入りもやや少ない印象でした。
スペシャルティーコーヒーの輸入量を見る限りでは増加傾向にあるので、スペシャルティーコーヒーの人気に陰りが出たのではなく、企業の過熱ぶりが落ち着いてきたのかなという印象です。

・各企業で提供されるコーヒーの質は、格段に向上していた
スペシャルティーコーヒーの祭典といいつつも、本当にスペシャルティーコーヒーを使っている企業ばかりではありません、実は。
去年までは、勧められるコーヒーを飲んでみると「本当にスペシャルティーコーヒーなの?」と疑いたくなるような、まずいとは言いませんが、微妙な味のコーヒーを出す企業は結構あったのですが、今年いただいたコーヒーは、どこのブースのものも非常に美味しかったです。

・より本物が問われる時代に突入したのかな
サードウェーブのブームは落ち着きを見せているのかなと思います。勢いに乗って一儲けしようという中途半端な企業は退いて、より本物を真摯に目指す企業が残っていくのだろうと思います。コーヒーそのものの品質が向上してるのは間違いありませんが、それ以外の焙煎や抽出の方法については、今年は新しいものはありませんでした。奇をてらったり、単に儲けようとするだけの企業は淘汰されていく時代に入ったのでしょう。



コーヒーを楽しむイベント「mug501」


毎月第3土曜日、東京の神宮にて「mug501」というイベントを開催しています。

※mug501は終了しました。現在は開催しておりません。

そこで、僭越ながらコーヒーを淹れる係を担当しております。
コーヒーは大体4~5種類の豆を用意し、お客様のオーダーに応じてその場で粉にひいてコーヒーを淹れます。
今回のコーヒーはこちら↓

左から、
・ケニヤ/キギリマ(浅煎り)
・コロンビア/ビジャファティマ(中深煎り)
・インドネシア/マンデリン・トバコ(深煎り)
・タンザニア/モンデュール(深煎り)

今回は4種類のコーヒーを持参。
この中で一番人気は、タンザニア/モンデュール(深煎り)です。これは鉄板商品(;^_^Aです。

焙煎環境が変わって最初のイベントだったので、コーヒーの風味調整がどうなるか心配でしたが・・・

案の定、風味調整ができていませんでした(;^_^A

前日ぎりぎりまで焙煎調整して、焙煎時間は大体規定通りに収まったのですが、火力バランスがまだ追い込めていません。
それが風味に現れてしまっていました。
直前に風味チェックはしているのですが、日が経つとちょっとした風味の違いがだんだん際立ってくるように感じました。

ですので、コーヒー淹れながら色々言い訳をするという・・・なんとも見苦しいイベントになってしまい、誠にお恥ずかしい限り。

それでも、来ていただいた方々は「美味しい」と評価していただき、とりあえず何とかなったのかなと(;^_^A
こちらは恐縮しまくりでした。

とまあ、こんな感じのイベントを(だいたい)毎月行っております。
主催側が忙しくて、お休みすることもありますけれど。

初めての方でも歓迎です。Facebookでたまたま見つけていらっしゃる方、わりといます。
ちょっと興味ある方。時間の都合がつきそうで、とりあえずコーヒーを飲みたい方。是非一度いらしてください。



コーヒー焙煎時の煙を除去する方法 ~煙除去器の作製~


こんにちは!

今回は、「焙煎機からでる煙の除去装置、作ってみた~」なお話になります。

コーヒーを焙煎するにあたって、避けて通れないのが焙煎時に出る煙です。

田舎の、家の間隔が広いところでしたら、ご近所迷惑にならなそうですが、

都市部の住宅密集地ではそうはいきません。

馬鹿にならない、コーヒー焙煎時の煙

高々100g程度のコーヒー豆を焙煎しても、かなりの煙が出ます。

私がかつて、手編み焙煎していたときは、それはもう大変でした。

キッチンの煙探知機は「火事です!火事です!」と鳴り響き、キッチンは煙で充満。 幸い、ご近所は理解ある方ばかりでしたので、苦情はありませんでしたが。

手編み焙煎の100g程度の焙煎でもこの騒ぎですので、焙煎機からの煙はかなり出ます。

これまでは、自宅に焙煎機を設置して換気扇経由で排気していました。自宅は割と田舎なもので、煙程度で文句を言う人なんていないので問題なかったのですが、この度市街地に焙煎所を構えることになり、どうしても煙対策の必要に迫られてしまい、思案に暮れる日々(3日くらい…)

煙除去機の自作を決意

まず最初に、業務用の煙除去機を調べてみました。いわゆる「アフターバーナー」とか、フィルターを通して煙を消す装置など数種類が存在するようです。しかしですねぇ、、、お値段は150万円から・・・

いやー、それならもっと大きな焙煎機買って、山の中に焙煎所を開いたほうが・・・

次に考えたのが、半田付けなどに使うヒューム除去器です。これは小型のものが40万円くらいから。

しかし良く調べてみると、ヒューム除去器は人体に有害な成分を除去するのが目的で、それゆえに高いようです。そのうえ、半田から出る量の煙には対応していますが、コーヒー焙煎のような煙の量はそもそも対応していない可能性が・・・

ということで、自分で作ってしまえ!ということになったんですね(;^_^A

煙除去機の様子はこんな感じです

ということで、焙煎機と煙除去器の全体図がこちら

ん~ 実に分かりづらい。
この絵に、空気の流れを矢印で書いてみました。

流れを書いてみましょう。
左が焙煎機本体

中央の黒い缶がサイクロン

T字ジョイントを下に向かいます

右下のペール缶がフィルター部分です

白いホースを上に向かって

塩ビ管の排気口から、換気扇に排気します。

換気扇の近くにアルミダクトが伸びていてわかりづらいですが、こっちは実は吸気口です。
諸事情あって、換気扇の近くに口を開けています。

この部分がフィルター部です。奥の缶が1次フィルター、手前側が2次フィルターです。
これは市販のペール缶の上と下に開口してホースを繋げたものです。

分かりやすいようにホースを伸ばしてみました。

煙の流れ方を矢印で示すとこんな感じです。

1次フィルタ、2次フィルターを通って煙が除去された空気は排気ポンプを通って、排気口に押し出されます。
ポンプは今回、粉体輸送用のやや特殊なポンプを採用しましたが、今思うと普通のシロッコファンで良かったのでは・・・

1次フィルターの中身はゼオライトを使用

1次フィルターは煙突と直結しており、可能性は非常に低いんですが火の粉が入るかもしれないと考えて、不燃性の素材を使いました。

2次フィルターは活性炭を使用

活性炭は、有機成分吸着用のものが各メーカーから販売されています。

排気モーターは、煙が通ることを考えて特殊なものを購入しましたが、難しく考えすぎて余計な出費をしてしまったかもです。
まあいいや。

で、排気は最終的に換気扇から外に出します。

自分の焙煎機は、最大焙煎量が550g(仕上がり450g)なので、煙突は立てていませんが、換気扇ではなく煙突経由で排気すれば完璧ですね。

で、肝心の効果ですが、現在のところ550gの焙煎で深煎りした場合、煙はほぼ完ぺきに除去。匂いがわずかに

「おや?コーヒーの香りがするね」

と感じるくらいで排気される状態です。
ですので、完璧に匂いも除去したければ、ペール缶をもう一つ接続して、3段のフィルターにすれば完璧でしょう。

今回使用した材料と費用:

・煙突のダクトなど:3000円くらい
・ペール缶:3000円くらい×2個
・排気モーター:55000円くらい
・ゼオライト:20リットル(30リットル3000円くらい)
・活性炭:20リットル(30リットル10000円くらい)
・工具など:10000円くらい

合計:約87000円

おおっ?そんなものか? なんかもっと使っていた気もするのだけれど、そんなものらしいです。
このシステムの良いところは、焙煎機が大型化して、煙の量が増えたら、単純にペール缶を継ぎ足して、活性炭フィルターを直結すれば良いところですね。

非常にローコストです。 

今後調べなければいけないことですが、これで何か月持つのか?です。
ゼオライトと活性炭の交換時期を見極めて、最終的にこのシステムのコストパフォーマンスはどうなのか、評価したいと思います。

いずれにせよ、格安で煙が除去でき、安心して焙煎ができる環境を自作出来てよかったと思っております。
使い勝手に関しては、今後折を見て報告していこうと思います。

それでは!