「 2015年08月 」一覧

苦いコーヒーを作る


現在、CAFE LUA CHEAのラインナップでは、苦くないコーヒーが主になっています。
しかし、「苦いコーヒーが好き」という声は少なからず頂いておりますので、苦いコーヒーを焙煎する必要性も感じております。

「コーヒーを濃く抽出すれば苦くなるよね」
というお話をちらほら耳にしますが、これは半分合っていて、半分は間違っています。
エスプレッソをを考えていただければ判ると思いますが、苦いばっかりのエスプレッソってあまりないですよね。
元々苦みが強いコーヒーを使わない限りは、濃くしただけではコーヒーはそんなに苦くならないんですね。

コーヒーを苦くする要素は大きく2つありまして、

・苦い風味を持つコーヒー豆を使う

・焙煎で苦味を強調する

この2つになります。

苦い風味を持つコーヒー:

焙煎で苦くなりやすいコーヒーは主にインドネシア産の物に見つけることができます。
今現在の在庫している豆の中で、自分の焙煎方法で一番苦くできるコーヒーは、インドネシア/ジャワ島産の「ジャンビット」というコーヒーです。

ジャワ島産のコーヒーはほとんどが「ジャバ・ロブスタ」と呼ばれる、安価な工業用コーヒーですが、山岳地域では良質のアラビカコーヒーが生産されていて、「ジャバ・アラビカ」と呼ばれています。
その中の国営農場「ジャンビット」のコーヒー豆は、深煎りで非常に苦いコーヒーになります。

現在のところ、アイスコーヒーの苦味強調用に使っていますが、商品ラインナップに加えてもよいかもしれません。

もう一種類代表的な苦味コーヒーとしては、タンザニアコーヒーが挙げられます。
CAFE LUA CHEIAの看板商品「タンザニア/モンデュール」は、現在は深煎り手前の、フルシティーローストで、チョコレートビターな風味を楽しめるように焙煎しています。
このコーヒー豆も、さらに深煎りにすることで、インパクトのある苦味を楽しむことができます。

「タンザニア/モンデュール」の深煎りは、商品ラインナップに加える予定です。

焙煎で苦味を強調する:

コーヒー豆は深煎りにすれば、炭化が進んで当然のごとく苦くなります、火力を強めることで深煎りでの苦味をいっそう強調することができます。
ただ、この苦味は行き過ぎると、舌に刺さるような不快な苦味になってしまいますので、不快にならないように調整しなければなりません。

また、品質の高い豆はかなり深煎りでも心地よい酸味が残り、マイルドな甘みを演出してくれています。逆に、酸味を飛ばすような焙煎を心がければ、より苦みを強くすることができるわけです。

同じコーヒーでも千差万別の風味を作ることが出来、好みも人それぞれです。

出来るだけお客様の好みに沿ったコーヒーを提供し続けられるよう、色々と工夫していきたいと思っています。



美味しいコーヒーの産地 ~ブラジル~


ブラジルは世界最大のコーヒー生産国です。
アメリカ大陸には自生しているコーヒーは無く、すべて人の手によって持ち込まれたものです。
1723年にフランスの将校であるガブリエル・ド・クリュが、赴任先のカリブ海東のマルティニーク島(現、フランス海外県マルティニーク)から帰国した折にコーヒーに触れ、再赴任の際にコネを使って入手したコーヒーの苗木を持ち込んだのが最初とされています。
この苗木が中南米のコーヒーの祖と言われ、カリブ海を中心にコーヒーの苗木が移植されていきました。

それから5年後の1727年、ブラジルでコーヒーの生産が始まりました。
最初は赤道直下の地域であるパラ州で始まったといわれています。
ルートについては、ブラジルの北側にあるギアナ(フランス領)からという説が比較的有力です。
植民地としての開拓が始まった、広大な土地を有するブラジルが、コーヒーの栽培に目を付けるのは時間の問題であったともいえます。

1800年代、ヨーロッパは産業革命と戦乱の入り混じった状態で発展をしていきます。
コーヒーを含む多くの食料品、鉱物などが新大陸から輸出されていきました。
ブラジルも、農業、鉱業を中心に発展をしていきました。

その中でもコーヒーはブラジル経済の要であり、1900年代にコーヒーの生産が過剰になると、政府が豆を買い取って、市場を見ながら供給量と価格を操作することによってますます利益を上げるようになりました。
広大なジャングルを開拓して得た農地を背景に、ブラジルは世界最大のコーヒー生産国となったのです。

最初は赤道直下のパラ州から始まったとされるコーヒー生産は、ブラジル全土に広まっていきますが、次第にブラジル中南部のパラナ州、ミナスジェライス州、サンパウロ州での生産が中心となっていきました。
これら地域は、「テーラ・ローシャ(赤い土)」と呼ばれる肥沃な大地を有しており、気候的にもコーヒー生産に適していました。
しかしブラジル南部は近年霜による被害が大きく(熱帯植物であるコーヒーは、霜が降りると枯れてしまう)、霜害対策として生産地は北上し、中部のミナスジェライス州が生産の中心となっています。

ブラジルのコーヒー豆は多くが比較的小粒で、丸みを帯びています。
ブラジルの多くの農園で栽培されている品種としては、ブルボン種に端を発した改良品種で、ムンドノーボといわれるもの、ブルボンの突然変異種で果実が黄色い、アマレロ(イエロー)ブルボンと呼ばれる品種が知られています。

これら品種の特徴は、
・日向でも育つ(シェードツリーがいらない)
・標高の低い地域でも育つ
・収量が多い
・比較的病害虫にも耐性がある

以上のように、大規模プランテーションに向いた性質を持っています。

風味の特徴としては、浅煎りではベリーのような甘酸っぱさが感じられ、深煎りにすると濃厚な風味と、余韻が長く続く特徴が表れてきます。

ブラジルには多くの農園に多くの品種のコーヒーが栽培されていますが、共通して力強いコクと余韻を感じることが多く、ブラジルの土壌に由来した風味ではないかと(個人的には)考えています。



炭火焙煎について


ブログ更新も少し間が空いてしまいました。

暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。

当焙煎所は冷房と言うものが無いので、この時期は灼熱との戦いになります(^^ゞ
熱中症にならないように、ペットボトルの水と扇風機と休憩と気合(笑)が重要になります。

コーヒーをお買い上げいただいた方から、
「炭火焙煎のコーヒーの方が美味しいのですか?」

と言うご質問を頂きました。

CAFE LUA CHEIAでは、炭火焙煎は行っておりませんが、個人的には実行したことがあります。
当店の焙煎機は超小型なので、熱源をガスから七輪に替えることで、炭火焙煎が可能です。

が、炭火焼きコーヒーを販売するかと言えば、しないです(スイマセン)。。。

結論を先に言ってしまうと、「炭だから美味しく焙煎できるわけではない」です。

炭火のメリットですが、円赤外線による加熱で内部までじっくりと焼くことが出来ます。
これは焙煎に限らず、多くの料理で良さが指摘されていますね。

また、ガスで焙煎するよりも水分の少ない、カリッとしたコーヒー豆に仕上がります。

ガスの成分は「炭化水素」なので、燃焼すると二酸化炭素と水になります。
ガスコンロの炎は、意外と水蒸気を多く含んでいます。
よって、焙煎で完全に水分を追い出すことは不可能です。
もっとも、完全に水分を追い出す必要はありませんけれど。。。

炭の成分は「炭素」ですので、燃焼するとほとんどが二酸化炭素になります。
(もともと含んでいる水分や、不純物が分解して生成される水分は含まれます)
それ故に、炭で焙煎したコーヒーの方が水分が少なくカリッと仕上がります。

これだけ見るとメリットはありそうですが、本質的な風味を左右するほどの差はありません。

一方炭火焙煎のデメリットは、、、
・炭火を熾すのに時間がかかる
・火力を安定させるのが難しい
・火力の微調整が難しい

以上の課題をクリアできないと、炭火焙煎は実用的ではありませんね。。。
炭火云々以前に、まともに焙煎ができなくなってしまいます。

炭火焙煎を謳っている自家焙煎店はありますが、炭火専用の釜を設けて、朝早くに火を熾し、様々なノウハウを積んで運営しているようです。

美味しいコーヒーにするためのスパイス的な位置づけとして、炭火焙煎はアリですが、
実際に焙煎をこなしていく上では美味しいコーヒーは炭火でなくてもできることが判っていますので、炭火にこだわる必要はないかと思っています。