ちょっと通ぶったお話です。
日本で喫茶店ブームが起こった1980年代(もう35年以上も前なんですね)。
日本で美味しいコーヒーの代表格と言えば、ブルーマウンテン。
でも、今回はコロンビアコーヒーのお話です。
その当時、コロンビアコーヒーも一つのステータスであった(だろう)と思います。
柔らかい酸味と、豊かな風味、バランスのとれたボディは日本人の心と舌をググッとつかんだのでした。
しかし、時代が進み世の中に喫茶店が広まってくると、コロンビアコーヒーの味に変化が・・・
「なんだか、以前より美味しくなくなった気が・・・」
こう思った人が多くいたことでしょう。
コーヒーの生産が急上昇したコロンビアでは、今までの品種から、より生産性の高い品種への植え替えを奨励したのです。
消費者からは思いもよらない事かも知れませんが、このような品種の交換は、コーヒーの産地ではしばしば行われています。
大量に生産されているコーヒー豆は、一般的には品質を維持する事よりも、安定して供給できることの方が優先されます。
なので、以前は美味しいと思っていたコーヒーが、何だか違う味になってしまった、そのようなことが起こります。
比較的新しい所では、インドネシア / マンデリンもそうですね。
コモディティークラスのマンデリンは、昔の品種から、生産性の高い品種(カティモール)へ切り替わりました。
背景には、21世紀初頭に起こった「サードウェーブ」と呼ばれるコーヒーブームがあります。
元々独特の風味で人気だったマンデリンは、このブームのおかげでいっそうに人気になり、慢性的な品薄状態に陥り価格が高騰しています。
その打開策として、より生産性の高い品種が投入されました。
現在、日本に入ってくるマンデリンの大部分が、カティモール種のコーヒー豆です。
以前からマンデリンを知っている方は、失望されていることでしょうが、これも時代の流れですね。
良いものは、いつまでも安いという事はありません。
そして、同じように販売されているものが、いつの間にか品質の低いものに変わっていることがあります。
コーヒーは特にそのようなことが良く起こります。
ちなみにですが、私の販売しているコーヒー、「ビジャファティマ・ティピカ」は、現在もわずかに残る古き良きコロンビアのコーヒー豆です。
また、扱っているマンデリンは全て品質の良いスペシャルティーコーヒークラスの物だけを扱っています。
価格は決して安くありませんが、味は自信を持ってお勧めできます。
興味のある方は、是非一祖お試しください。
「 2016年06月 」一覧
コーヒー 好みの味は?
前回までは、如何にコーヒーを美味しくなるように淹れるか?について解説してきました。
今回は、その「美味しいコーヒー」について考えてみたいと思います。。
〇やっぱり人気の「深煎りコーヒー」
私のショップからコーヒーを買っていかれる方の8割は、深煎りの豆を選択します。
実は、私がコーヒーを販売した当初は、浅煎りの酸味の利いたコーヒー豆、マイルドな中程度の焙煎の豆、そしてビターテイストな深煎り豆の3種類を扱っていました。
現在では、深煎り8割、残り2割は浅煎りです。
中程度の焙煎豆(コロンビア、ブラジル)は販売を止めたわけではないのですが、(コロンビアしか買わない)特定のお客様以外は全然興味を示してくれません(^^ゞ
インターネットだけでの販売ですので、特定の好みを探して、こだわっているお客様が多く、気に入っていただけたコーヒー以外には全く興味を示してくれない傾向があります。
いきなり、話題からそれました・・・
コーヒーと言えば深煎りの風味を思い浮かべるという方は多いと思います。
日本に従来からあるコーヒーは、「浅煎りでは美味しくなかった」コーヒーがほとんどでしたから、スペシャルティーコーヒーのに造詣のある方や、若いころからスペシャルティーコーヒーの味を覚えてきた(要は親が前衛的な)方でないと、なかなか酸味の利いた浅煎りのコーヒーを選択しようとは思わないのかもしれません。
それに加えて、日本人は酸味が苦手な人が多いですよね。。。
ちなみに私は、酸味にはかなり強く、コーヒーも酸味の利いたコーヒーが好きです。
ですが、自宅にあるのは販売用のコーヒーの残り物なので、深煎りばかり。。。
勿体ないので飲んでいます。
自分の好みがわからないという方、まずは深煎りのコーヒーを飲んでみましょう。
それで満足できればよし、もし満足できなければ浅煎りのコーヒーにもチャレンジしてみれば良いと思います。
自家焙煎店のブレンドコーヒーにチャレンジするのも良いでしょう。
その場合は、お店の人にどんなコンセプトのコーヒーなのか、酸味のコーヒーなのか、苦みのコーヒーなのか確認しましょう。
複数のブレンドがある場合は、酸味の強いコーヒーから味を確認すると良いと思います。
おや? さっきは深煎りからと言ったのに何故? と思った方もいるかと思います。
先に述べたのは、自分で買ってきて家で淹れて飲む場合を想定しています。
その場合は、立て続けに何杯も淹れて飲みませんよね?
ですので、異なるコーヒーを飲むのは、異なる日であるとおもいます。
それに対して、自家焙煎店での試飲は、短時間に何杯も飲むことになります。
そういった場合は、一番先に深煎りのコーヒーを飲んでしまうと、味が強くて舌がコーヒーの味で麻痺してしまい。その後に飲むコーヒーが軽く感じられる傾向があります。
後半に酸味の強いコーヒーを飲んでも、酸味のバランスが良く判らなくなってしまう事も。。。
ですので、舌がコーヒーになじんでいない状態で、酸味のあるコーヒーを頂きましょう。
一番最初は、結構酸味を感じると思います。
しかし、数口飲むと酸味以外の味も感じて、酸味が弱くなるように感じると思います。
コーヒーの風味は、2口、3口と飲み進めるごとに刻一刻と変化していくものなのです。
その変化の中に、自分の気に入る風味を見つけられたらラッキーです。
このような味の変化は、酸味の強い浅煎りのコーヒーに顕著にみられ、深煎りのコーヒーでは変化はあまり感じません。
ここに優劣はありません。どちらが良いかも、好みの問題です。
お店で試飲するなら、酸味の強いコーヒーから、自分で買って試すなら、多くの人が美味しいと言う深煎りから、試してみると良いと思います。
今日はこの位で・・・
それでは!
失敗から学ぶ美味しいコーヒーの淹れ方
前回は、コーヒーの淹れ方の失敗の本質は何か?という事に触れました。
つまり本質さえ心得ておけば失敗しても大丈夫・・・なのですが、時々来る質問の中に、
「抽出の練習をしたいのだけれど、失敗するともったいないから安い豆で練習をしたいと思う」
と言ってくる人がいます。
私の答えはこうです。
「練習こそ品質の良いコーヒーを使うべきです。」
これは抽出だけでなく、焙煎もそうです。
品質の悪いコーヒーは、こういっては何ですが「ものすごく地雷が多く」て、成功するポイントを見つけるのが難しいのです。
それに対して、品質の良いコーヒーならちょっと失敗してもそこそこに美味しい。
「今回は(自分の中で)70点くらいの出来栄えだった。次回はこことそこを変えて、もっと美味しくなるか確認してみよう」
そんな気持ちになれます。
品質の悪いコーヒーではこうはいきません。
「全然美味しくなかったけれど、この状況は抽出で解決できるのか、豆が悪いから変えようがないのか判らない・・・」
こういった状況にしばしば陥ります。
さらに、元々の品質のせいで、どんなに頑張っても満点の味は出せませんから、
「自分の抽出技術が上達したのか良く判らない」
こんなジレンマに陥ります。
コーヒーの技術に関するトレーニングでは、
「まず正解を知って、正解に近づくように努力する」
これが上達の早道です。
そのためには練習以前に、正解である「美味しいコーヒ」を見つけておく必要がありますが。
もっとも、美味しいコーヒーは現在は簡単に見つかると思います。
前置きはさておき、具体的に「こうすれば失敗するよ」という事柄を列挙したいと思います(笑)
ここに解説した事柄に注意すれば、なぜいけないかが判り、失敗しないやり方が身に付くと思います。
〇失敗するコーヒーの淹れ方
・× 品質の低い豆を使う
これはもう説明は要らないでしょう。品質の良い豆を使えばそもそも不味くはならないです。
・× コーヒー豆を過剰に細かく挽く
細かく挽けば抽出が早くなるとか、出来る限り成分を出し切りたいとか思うのでしょうか?
細かく挽いて良いのはエスプレッソを淹れる時だけです。多くの淹れ方では、粗い方がすっきりと美味しくなります。
・× 沸騰したての熱湯を使う
コーヒーを淹れるのに最適な温度は90℃以下です。よく「93℃」が最適とか言われますが、スペシャルティーコーヒーの中でも高温で淹れて美味しい豆は限られています。90℃を越えなければ、大抵のコーヒーは美味しく淹れられます。
・× 勢いよくお湯を注ぐ
あまりいないかと思いますが、コーヒーの抽出は慎重かつ静かに行うべきです。プロにはポタポタとお湯を滴下させるくらいの量から淹れ始める人も多いです。ちなみに私も点滴から始めます。
以上の四つは「やってはいけない事」ですよ。お間違いなく!
美味しく淹れるために「やるべきこと」は多いですが、「やってはいけない事」は多くありません。上記の4項目を「やらない」ように気を付ける。これだけでコーヒーの淹れ方はだいぶ変わると思います。是非参考にしてみてください。
それでは!