コーヒー屋がかかる職業病3つ


特定の仕事、業務を続けていると患ってしまう病、職業病。
コーヒーを扱う業務でもそういった職業病が存在しています。

1.腰痛

コーヒー自家焙煎店は基本的に立ち仕事です。
そして生豆は重い。
海外から、輸入業者から仕入れる際の重量は30kg~50kg。
そんな重い袋を運ばなければなりません。
もちろん、台車という輸送器具はありますが、要所要所で人手が必要です。
繁盛店になるほど、腰痛の悩みは増えてくるでしょうね。

2.コーヒーアレルギー

飲むコーヒーに対してではなく、生豆に付着している、チャフと呼ばれる薄皮に対してアレルギーになる人は、意外に多くいます。
コーヒーを焙煎すると、熱によって焙煎機の中でチャフが剥がれて舞い上がります。
ほとんどは排気設備を通して集塵機で集められるのですが、一部のチャフはコーヒー豆と共に焙煎機の外に出てきます。
大量に焙煎を行うお店では、マスクなどの対策を取っていますが、どうしても吸い込んでアレルギーになってしまう人がいます。
焙煎士の方で、何人かアレルギーの方がいましたが、焙煎する度にくしゃみが止まらなくなる姿は気の毒でした。

3.コーヒー嫌い

本当か?(笑)と思うかもしれませんが、コーヒー業界に携わる人で、コーヒーが嫌いな人は意外に多いです。
これには2つのパターンがあります。
一つは、もともとコーヒーなんて好きじゃないけど、仕事でコーヒー業界にいる人。
フードビジネスをやりたくて、就職した結果スタバだったとか、そういう人たちです。
私がセミナーでで会った方では、就職先が自家焙煎店だった方、実家がコーヒー屋で、別に好きじゃない(むしろ嫌い)だけど家業を継いだ方、そんな方もいらっしゃいました。

そんなことでコーヒービジネスをやれるのか?と思いますが、意外にやれるようです。
コーヒーが嫌いだから、味に対しての思い入れが無く、冷徹なまでに正確なテイスティングをする方は多かったですね。
口に含んで、正確に風味を吟味する(そして吐き捨てる)。
自分は嫌いだけれど、どんな味が好まれるかは知っている。
そんなお話を伺った時、この人はプロだな、そう思ったものです。

もう一つのパターンは、「同じ味に飽きちゃった人」
長年自家焙煎店で一つの味を追求した結果、自分が嫌になっちゃった、そんな人に会ったことがあります(笑)。
新しい味を求めてセミナーにいらした方、そんな方ともお会いしたことがあります。
こういう人はもともとコーヒー好きだったので、きっかけがあれば再びコーヒー好きに戻るかもしれません。

コーヒー屋だから死ぬほどコーヒーが好きな人ばかり、と言うわけではありません。
かくいう自分はと言うと・・・・(想像にお任せいたします^^;)



コーヒーの酸味を調節する


こんにちは!

今回は、すでに焙煎されたコーヒーの酸味を調整するというお話ではなく、焙煎によって酸味をコントロールするお話です。

コーヒー本来の酸味は果実由来の風味であり、美味しいもの

コーヒーの酸味が苦手、という方結構いらっしゃるかと思います。しかしながら、自分の経験をもとにお話しすると、多くの方がコーヒーの酸味を誤解していらっしゃるように感じます。

多くの方がコーヒーの酸味と思っているもの、実は劣化による酸化したコーヒーの味を「酸味」だと思っている場合がほとんどで、試しに自分が焙煎した「本来の」酸味のあるコーヒーを飲んでいただくと、酸味の苦手な方でも「この酸味なら美味しい」と言ってくださいます。

コーヒーの酸味は焙煎によって決まる

コーヒーの風味は、焙煎によって豆が持っている風味のポテンシャルを引き出してあげることで生まれます。
焙煎によって一番大きく影響を受ける風味が、酸味です。

焙煎時間の短い、比較的浅煎り(ミディアム~ハイロースト)の豆が、一番酸味が強く、深煎りにするにつれて酸味は弱くなります。
じゃあ、単純に焙煎時間だけを変えれば良いのか?というと、必ずしもそうではありません。
単純に焙煎時間をのばすと、焙煎度が進んで違う印象の風味に変化してしまうことが多々あります。
焙煎の工程は、豆を投入した瞬間から、火を止めて豆を取り出す瞬間まで、一つ一つのプロセスすべてが風味に影響してきます。
私の場合、酸味だけを調整する場合はトータルの焙煎時間を調整するという事より、途中のプロセスを変えて風味を調整することを意識しています。

具体的に言うと、水分抜き後の、火力を上げるタイミングをずらします。
酸味をわずかに弱めたい場合は、火力を上げるタイミングを遅くし、酸味を強めたい場合は早くします。
最終的に豆を取り出す温度は同じにします(焙煎時間は異なります)。
別の解釈をすれば、水分抜きの時間を調整しているとも言えます。

この方法ならば、焙煎度はほとんど同じ。
見た目では全く区別はできませんが、注意深く飲んでみると、酸味の強さが異なっていることが認識できます。

ガッツリと酸味の利いたコーヒーを作る場合よりも、酸味を隠し味にしたいコーヒーを作るときに、この調整方法は有効です。

コーヒーの焙煎は、火加減だけで味を作り出す料理という感じですね。
色々なバリエーションを試して、色々な風味のコーヒーを作っていきたいと思っています。

コーヒーの酸味を調整することは可能か?

結論を言ってしまえば、「抽出で何とかしようとするくらいなら、酸味の弱いコーヒーを買え」です(笑)

まあ、当然と言えば当然ですが。

しかしながら、頂き物のコーヒーなど、自分の好みに合わなくても何とか飲んで、少なくとも「飲みましたよ」くらいは報告したい。そんなこともあるでしょう。

そんな場合の対策を少しお話しようかと思います。

コーヒーをを淹れた際に酸味が強すぎた場合は、

・豆を粗めに挽く

・粉の量を少なめにする(いつもより1g程度少なく)
・湯の温度を下げて淹れてみる(85℃以下にする)
・蒸らしの時間を短くする

以上の調整である程度は改善できます。
酸味のあるコーヒーは酸味が美味しいはずですので、上記の箇所を調整して、良い感じの淹れ方を試行錯誤してみるのが良いかと思います。

今回は、コーヒーの酸味についてお話してみました。

自分は酸味のあるコーヒー、大好きです。

それでは!



苦いコーヒーを作る



現在、CAFE LUA CHEAのラインナップでは、苦くないコーヒーが主になっています。
しかし、「苦いコーヒーが好き」という声は少なからず頂いておりますので、苦いコーヒーを焙煎する必要性も感じております。

「コーヒーを濃く抽出すれば苦くなるよね」
というお話をちらほら耳にしますが、これは半分合っていて、半分は間違っています。
エスプレッソをを考えていただければ判ると思いますが、苦いばっかりのエスプレッソってあまりないですよね。
元々苦みが強いコーヒーを使わない限りは、濃くしただけではコーヒーはそんなに苦くならないんですね。

コーヒーを苦くする要素は大きく2つありまして、

・苦い風味を持つコーヒー豆を使う

・焙煎で苦味を強調する

この2つになります。

苦い風味を持つコーヒー:

焙煎で苦くなりやすいコーヒーは主にインドネシア産の物に見つけることができます。
今現在の在庫している豆の中で、自分の焙煎方法で一番苦くできるコーヒーは、インドネシア/ジャワ島産の「ジャンビット」というコーヒーです。

ジャワ島産のコーヒーはほとんどが「ジャバ・ロブスタ」と呼ばれる、安価な工業用コーヒーですが、山岳地域では良質のアラビカコーヒーが生産されていて、「ジャバ・アラビカ」と呼ばれています。
その中の国営農場「ジャンビット」のコーヒー豆は、深煎りで非常に苦いコーヒーになります。

現在のところ、アイスコーヒーの苦味強調用に使っていますが、商品ラインナップに加えてもよいかもしれません。

もう一種類代表的な苦味コーヒーとしては、タンザニアコーヒーが挙げられます。
CAFE LUA CHEIAの看板商品「タンザニア/モンデュール」は、現在は深煎り手前の、フルシティーローストで、チョコレートビターな風味を楽しめるように焙煎しています。
このコーヒー豆も、さらに深煎りにすることで、インパクトのある苦味を楽しむことができます。

「タンザニア/モンデュール」の深煎りは、商品ラインナップに加える予定です。

焙煎で苦味を強調する:

コーヒー豆は深煎りにすれば、炭化が進んで当然のごとく苦くなります、火力を強めることで深煎りでの苦味をいっそう強調することができます。
ただ、この苦味は行き過ぎると、舌に刺さるような不快な苦味になってしまいますので、不快にならないように調整しなければなりません。

また、品質の高い豆はかなり深煎りでも心地よい酸味が残り、マイルドな甘みを演出してくれています。逆に、酸味を飛ばすような焙煎を心がければ、より苦みを強くすることができるわけです。

同じコーヒーでも千差万別の風味を作ることが出来、好みも人それぞれです。

出来るだけお客様の好みに沿ったコーヒーを提供し続けられるよう、色々と工夫していきたいと思っています。