「 2016年05月 」一覧

(コーヒーに限らず)美味しいと便利の狭間で思う事


初夏の草原

現在の社会は実に便利になったと思います。

具体的な実感がそれほどあるわけではないのですが、便利ですよね^^;

飲み物も食べ物も、スーパーやコンビニに行けば簡単に手に入るし、美味しい食事処も簡単に調べていくことが出来ます。

今さらっと、全く違う事象を同次元で並べてみました。

とりあえず食べ物を得るのか、満足出来る美味しいものを食べに行くのか、いずれにせよ目的にリーチするためのプロセスがすごく簡単になったのが、現代社会なのかなと思っています。

逆にみんなが敬遠する事と言うのも、何となく見えてきます。

それは、目的にリーチするのにプロセスが複雑なもの。

コーヒーのドリップなんてその典型ですね(汗

美味しいコーヒーを得るだけであれば、自分で複雑な行程を経なくても、美味しいコーヒーを淹れてくれるプロのいるカフェに行ってしまえば良いわけなので。

そうなると、自分の様なコーヒーの自家焙煎店の価値は何なのだろう?

一つ考えられるのは、コーヒーの淹れ方を楽しむ、これが目標になるようにすれば良いのでは?

コーヒーを淹れることが、単にプロセスではなくリーチすべき目的なので有れば、もう少し皆に興味を持ってもらえるかも。

その上で、淹れるコーヒーが美味しければ尚良し。

ボーナスゲットみたいなものです(笑)

美味しいという感情は、人間が生きるための「食」に深く根ざしているものなので、
「食」に飢えていない現代社会では、実はそれほど優先度の高いものではない、そんな気もしています。

その上、美味しいを手に入れるのはそれほど難しくなくなった。
美味しいを目標にしているプロは実に多いですから(て言うかすべての料理関係者がそうですねw)。

自分の立ち位置は「美味しいコーヒーを淹れたい」は当然として、

それ以上に

「楽しくコーヒーを淹れたい」

そこなのかもしれないと思う、今日この頃です。



マンデリン考


コーヒー

自分のショップで扱っているコーヒーの種類は、決して多くありません。
と言うか少ない。。。

と言うのも、一つの産地の、複数の豆を比べて、一番良いものを(あるいは複数の良いものを)選び、さらに、選んだ豆を繰り返し焙煎して、どのような焙煎方法が美味しいかを確認した後に、初めて商品化しているからです。

なので、今はまだ美味しいコーヒーはどれなのかを順に選定している段階。
今後徐々にラインナップは増えていくと思いますので、乞うご期待^^;

○私がマンデリンを積極的に扱う理由・・・・

その少ないラインナップの中でも、マンデリンは3種類を販売しております。
(売り切れ御免な場合が多くて申し訳ないのですが・・・)

現在扱っているマンデリンはこちら↓
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CAFE LUA CHEIA マンデリン トバコ スペシャルティー コーヒー豆 200g 深煎 自家焙煎 (豆のまま)
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何故にマンデリンに偏っているのかと言うと、理由は大きく二つあります。

理由の一つ目:
独特の風味は他のどのコーヒーにも無く、誰が飲んでも「わかりやすく」そして「美味しい」コーヒーである。

理由の二つ目:
世の中には美味しくないマンデリンが出回りすぎている。

○本当に良いマンデリンは「生産地区名」、「部族名」がブランド名として付与される

美味しいマンデリンを体験したければ、必ず知っておいてほしい事があります。
それは、
「生産地区」、「コーヒーの品種」です。
このどちらもが、美味しいマンデリンを見分けるために必要な知識となります。

マンデリンとは:インドネシア/スマトラ島北部で生産されるアラビカ種のコーヒーを総称し「マンデリン」と呼びます。
同じコーヒーがヨーロッパでは「Sumatra(スマトラ)」と言う名称で扱われていたりもします。

マンデリンの呼び名は、スマトラ島に住む「マンデリン族」が名前の由来となっています。
スマトラ島にはマンデリン族以外にも部族は存在しておりますが、
それぞれの部族によって生産されるコーヒーもまた「マンデリン」というブランドを冠して扱われます。

一般に生産されるマンデリンは、欠点豆の数によって格付けされ、G1~G3が当てはめられます。
G1という等級は、「欠点豆が少ない」という意味で、コーヒー豆自体の風味がどうかということは、この格付けでは関係ありません。

ですので、もっと品質の高いスペシャルティーコーヒーのクラスになると、一般クラスの格付けで表現されることはありません。
だって、スペシャルティーコーヒーに欠点豆が少ないのは当然で、格付けがG1でなければ、スペシャルティーコーヒーと名乗れませんから。

スペシャルティーコーヒークラスのマンデリンは、主に生産地域あるいは生産部族の名前を冠したブランドで扱われることが多いです。

「リントン」はマンデリン北部のコーヒー生産地の名称、「トバコ」はリントン地区にある湖の名称です。
またその地域の部族「アチェ族」、マンデリン族も含まれる「バタック人」がコーヒーの名称として使われることもしばしば。
その中の農園がブランド名になることもありますが、ここまで来ると一般にはほとんど知られていないレベルの高品質コーヒーになってきます。

当店では、
・ブルーバタック(スマトラ北部のバタック人が生産しています)
・アチェ・アルールバダ(アチェ族の暮らす自治区、アルールバダが産地です
・トバコ(高品質なマンデリンの産地、リントンニフタ村にある湖「トバ」、およびその近くの丘陵地帯の名です)
の3品種を扱っていく予定でいます。

○美味しいマンデリンを見極めるためには品種にも注意!

もう一つの大事な要素「品種」ですが、コーヒーは産地が同じでも生産するコーヒー豆の品種は同じではありません。
マンデリンに関して言えば、安い方(G1~G3およびそれ以下)はおもに「カティモール」と言う品種が使われています。

コーヒーは大きく分類すると、「アラビカ種」と「カネフォラ種」に分類され、それぞれの下に細かい種が存在しています。
コーヒーとしての風味に優れているのは、圧倒的にアラビカ種なのですが、病害虫に弱くて育てるのが難しいのが難点。

一方のカネフォラ種は、病害虫に強くて容易に育ち、生産性が高い。
しかし風味はアラビカ種には全く及びません。

アラビカ種の風味を何とか維持しつつ、病害虫に強く、生産性の高い品種が出来ないものか?そういった要望に応えて品種改良がおこなわれ、出来上がった品種に「カティモール」と言う品種があります。

カティモールは、カネフォラ種ロブスタとアラビカ種の掛け合わせである「ティモール種」に、アラビカ種である「カトゥーラ種」を掛け合わせて作られた品種です。

カネフォラ種ロブスタの特徴である、病害虫に対する強さ、栽培地を選ばない適応力、そしてアラビカ種を掛け合わせることで、ロブスタの欠点である風味に改善を施した種が「カティモール種」なんです。

カティモールは、分類上はアラビカ種ですが、風味は他のアラビカコーヒーに劣ります。
しかし病害虫に強いので、マンデリンを量産するために大量に栽培されています。

このようにして、マンデリンと呼べるけれどもイマイチ美味しくない、インチキではないけれど・・・そんなマンデリンが大量に日本に入ってきています。

では、生産地区を呼称する高品質なマンデリンの品種は何か?、というと・・・

まず挙げられるのが「ティピカ種」。
この品種は、エチオピア発祥のコーヒーの原種に近く、風味が良いことで知られています。しかし病害虫に弱くて栽培地域を選ぶため、世界的にも生産量が少なくなっています。

他には、「アテン種」、「ティムティム種」というスマトラ島北部地域で栽培種として育てられ続けている品種があげられます。他にも、まだ品種が特定されていない種もあるようです。
品種が特定されていない場合は、「在来種」、「伝統種」と記されている場合もあります。

コーヒーショップで「マンデリンG1」だけを謳い文句に、高品質をうたっているとしたら注意が必要です。必ず「生産地区名」、そして「品種名」を確認しましょう。

生産地区がはっきりせず、栽培品種がカティモールだったら、残念ながらそのマンデリンの購入は見送った方がよさそうです。

コーヒーは、ブランド名が先行して、良いコーヒーをそうでないコーヒーが雑多に交じり合う混迷期に差し掛かっているようです。

そんな時代の中でも、私自身は絶対的に美味しいと自分が納得できるコーヒーを扱っていきたいと考えています。

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CAFE LUA CHEIA マンデリン トバコ スペシャルティー コーヒー豆 200g 深煎 自家焙煎 (豆のまま)
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