「 2016年05月 」一覧

そのコーヒーはスペシャリティー?(3)


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前回からの続きです。今回はスペシャルティーコーヒーの見分ける方法(?)も解説したいと思います。

〇混乱の原因は小売業者にある? 伝え方が足りないかなぁ・・・

スペシャルティーコーヒーと、それ以外のコーヒーを明確に区別する基準は・・・実はありません。

飛びぬけて美味しいコーヒーを、専門の鑑定士(Qグレーダーなど)が評価しているものは、明確にスペシャルティーコーヒーと言えるのですが、実はコモディティーコーヒーとして流通しているコーヒーの中にも、「スペシャルティーコーヒーと名乗ってもおかしくない品質」のコーヒーが混じっていることがあります。

何故そんなことになるのかと言うと、販売側がきちんと伝えないでいる場合があるから、なんです。
コーヒーの販売店によっては「お客様が混乱する」と言う理由で、細かい情報を出さない場合もあります。

美味しければそれで良いじゃないか・・・
そういったスタンスという事なんですね。

アメリカ発のコーヒーを売り込む戦略だとして、「スペシャルティーコーヒー」や「サードウェーブ」と言う概念を嫌うお店も少なくありません。

まあ、わからなくもないのですが・・・

しかしながら、きちんとした情報は小売店が出すべきですね。
日本のコーヒー業界はもっと変わっていかなければならないと、私個人は考えています。

〇スペシャルティーコーヒーの見分け方 ポイントはブランド名ではなく、細かい地域情報

スペシャルティーコーヒーの最大の特徴は「産地の情報を事細かに公開している」ことです。

例えば・・・
タンザニアコーヒーだったら・・・
「キリマンジャロ」→「プレミアムコーヒー」(コモディティーコーヒーから、産地で選り分けしたもの)
これはスペシャルティーコーヒーとしては全く情報不足で、この程度の表示でしたら、コモディティーコーヒーです。

スペシャルティーコーヒーなら

タンザニア/モンデュール

タンザニア、アルーシャ地方、モンデュール山麓にあるコーヒー農園「モンデュール農園」のコーヒー
生産者はCORRADO DAVICO氏とRUGGERO DAVICO氏

ちなみにこの情報は私のショップページから持ってきました。
このように、スペシャルティーコーヒーは細かい情報が開示されています。
細かい情報の開示が、品質の裏付けでもあるのです。

・シングルオリジン(ストレートコーヒー)
スペシャルティーコーヒーの魅力は、その地域、生産者ごとに異なる風味のコーヒーであるという事が挙げられます。
そのためには、シングルオリジンで楽しみたいものです。
別にブレンドが悪いとは言いませんが、きちんとスペシャルティーコーヒーを理解しているショップでは、シングルオリジンの豆を必ず用意しているものです。

ちなみに私は、シングルオリジンしか扱っていません。

ブレンドするのが面倒くさい

ストレートでも、ブレンド以上に魅力的な風味を持つコーヒーが本当に沢山あるのです。

〇やっぱりグレードを書きたいので、コモディティーコーヒーと表記が混ざっている現状

スペシャルティーコーヒーを扱っているショップでも、コモディティーのグレードと混ざった表示をしているところは多いです。
実を言うと私も、amazonの販売ページでは、グレードの表記をしている場合があります。
その方が検索して、見つけてもらいやすいという事情があるからなのですが・・・

日本社会はどうしても肩書きを貴ぶ傾向はあり、

「立派な肩書 ⇒ だから美味しいはず」

と言うコーヒーの販売戦略が未だに根強く残っています。

改めて申し上げますが、「グレードと美味しさは全く無関係」です。

スペシャルティーコーヒーが一般に浸透するのはまだまだ時間がかかると思いますが、このブログ記事が、スペシャルティーコーヒー理解の一助になれば幸いです。

自分も、もっとガンバロー



そのコーヒーはスペシャリティー?(2)


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前回に引き続いて、スペシャルティーコーヒーとは何なのか、解説していきたいと思います。

その前に、タイトルに書いた「スペシャリティー(speciality)」と「スペシャルティー(specialty)」は同じことです。

「スペシャリティー(speciality)」はイギリス英語、「スペシャルティー(specialty)」はアメリカ英語ですが、スペシャルティーコーヒーの概念はアメリカが中心となって出来たので、「スペシャルティー(specialty)」を使う事の方が多いです。

〇コーヒーのグレードに関する誤解・・・スペシャルティーコーヒーにグレードは当てはまらない

コーヒーショップに行くと良く書いてありますね。

「ブラジルNo.2」

「コロンビア スプレモ」

「マンデリン G1」

「グアテマラ SHB」

このような表記は『すべてコモディティーコーヒー』を区分するためのグレードです。

コモディティーコーヒーとは、スペシャルティーコーヒー以前からある、いわゆる普通のコーヒーの事です。

コモディティーコーヒーのグレードは、元々は安いコーヒーを如何に差別化するか、と言う考えに基づいていますので、判断基準は豆の大きさや、産地の標高、欠点豆の少なさと、国によってバラバラです。

そして何よりも、美味しいかどうかは全く評価の基準に入っていません。

例えば「コロンビア スプレモ」は豆の大きさがコロンビアの基準で一番大きいことを表しています。一般に豆が大きい方が良い品質とされていますが、標高が高い地域で育つコーヒーは生育が遅くて、完熟するまでに大きく育たない事もあります。

コロンビア基準では2番目の「エクセルソ」のコーヒーがスプレモに遜色ない美味しさという事は、業界では良く知られている事実です。

スペシャルティーコーヒーには「グレードは存在しません」。
美味しい以前の品質は、絶対的に担保されていなければいけませんので、そもそも欠点豆の数なんて評価する意味が無いからです。

品質が担保されている豆の風味を専門家が鑑定して、どのようであるかチェックし、スペシャルティーコーヒーを名乗れるかを評価します。

スペシャルティーコーヒーは、「基本的にコモディティーコーヒーとは扱いが別」なのです。

この話は長くなりそうですので、続きは次回に・・・

それでは!



そのコーヒーはスペシャリティー?(1)


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スペシャルティーコーヒーが何なのか? スペシャルティーコーヒーの定義とは?
コモディティーコーヒーとの違いは何?

この辺が良く判らないことが、スペシャルティーコーヒーを難しいものにしているのかな~ なんて思うことがちょくちょくあります。

今回は、スペシャルティーコーヒーとコモディティーコーヒーの違いも含め、解説してみたいと思います。

〇スペシャルティーコーヒーとは
「消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。

風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。

カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階に於いて一貫した体制・工程で品質管理が徹底している事が必須である。(From Seed to Cup)」

これは、私が会員である「日本スペシャルティーコーヒー協会(SCAJ)」が定める定義です。

定義はかなり具体的で、大きく分けて3つの内容が含まれています。
・消費者が美味しいと思うこと
・ただ美味しいだけではなく、際立った特徴があること
・生産から小売りまでの品質管理が徹底していること

要するに「美味しくて、品質の良い」コーヒーがスペシャルティーコーヒーなのです。

・・・・・・

これ、一般消費者から見たら何とも言えないですよね。。。
「今まで飲んでいるコーヒー、特にスペシャルティーコーヒーと言われていないけど、美味しいよ」

そんな声が聞こえてきそうです。

さらに、もう少し詳しい人ならば、

「ウチで買っているコーヒーは、『コロンビア・マイルド』なんだけど、スペシャルティーコーヒーじゃないの?」

そんな意見も聞こえてきそうです。

そこで、ここでは消費者がどうやってスペシャルティーコーヒーを見分けたら良いか?
ここに焦点を絞り、コモディティーコーヒーとの違いも含めて解説していこうと思います。

という事で、次回以降乞うご期待!

それでは!