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美味しいコーヒーの「品種」ってあるの?


美味しいコーヒーを作るには、

・素晴らしい品質の豆が生産される

・適切かつ注意深い品質管理の下、消費国に生豆が届けられる

・生豆のポテンシャルを引き出せる焙煎を行う

・適切な抽出を行う

以上の条件がそろう必要がありますが、
下の二つ、焙煎と抽出は、全体のウェイトのせいぜい2割程度の重要度かなと思っています(^^ゞ

まずは、品質の良いコーヒー豆があり、それが消費国に届けられる。
この生産とサプライチェーンが大事です。

品質の良いコーヒー豆とは何か?
度々このブログでも触れていますが、

・完熟して
・欠点の少ない
・かつ、産地の特徴をいかんなく持っている

そんなコーヒー豆です。
ではコーヒーの木の品種で、品質の良し悪しはあるのでしょうか?

実は品種はそんなに重要ではありません。

コーヒーの木は大きく分けて
・アラビカ種
・カネフォラ種
・リベリカ種

という種類に分類され、アラビカ種がもっとも風味が良いとされています。
レギュラーコーヒーのほとんどはアラビカ種です。

カネフォラ種は、風味がアラビカ種に劣りますが、病害虫に強く、どこでも育つので、各国で大量生産されています。
主に缶コーヒーや加工品用です。

リベリカ種は、リベリア原産と言われている品種ですが、生産量が少なく、風味もアラビカ種に劣るとされ、ほとんど流通していません。自分もリベリカ種は飲んだことがありません。

アラビカ種をさらに分類すると、品種が数多く存在しますが、
コーヒーは遺伝的に比較的不安定なようで、品種改良や突然変異などで、かなり頻繁に亜種が出現します。

品種改良も進んではいますが、
風味にフォーカスされた品種改良よりも、病害虫対策など生産性を重視した品種改良がメインです。
ですので、コーヒーに関しては、特別に美味しい品種と言うものはありません。

もちろん珍しい、希少価値のある品種はあります。
例えば、ゲイシャ種

これはパナマのエスメラルダ農園で、単一品種として生産されたものが品評会で賞を取って一躍有名になりました。
しかし、新しい品種でもなんでもありません。
コーヒーの原種に近く、病害虫に弱くて、今までは生産の主役になることが出来なかったのです。
世界各国の多くの農園で、混合栽培種の一種として植えられているとのことです。

そうそう、コーヒー農園では普通は複数の品種を栽培してブレンドしています。
単一品種だと、生産性に偏りが出るのと、万一病気が発生した時に簡単に全滅してしまうからです。

コーヒーの風味の違いは、品種によるものよりもむしろ、その土地の土壌や生産処理に依る部分が大きいです。
次回は、もう少し具体的に産地ごとの風味について考察してみたいと思います。



お客様からのリクエスト


すぎなの原っぱ

今日、amazon経由でコーヒーをご注文いただいたお客様からのリクエスト

以下抜粋
————————–
もし、可能でしたら、そちらのお店のラッピングでお届け頂けると有り難いです。
オリジナルの麻袋?なにか、特別のバッグがありましたら、加料してくださっても構いませんので、ご同封してくださって、ご請求ください。
難しいようでしたら、ご放念ください。お遣いものしたくてお願いしてみました。安着をお待ちしております。
————————–

とても丁寧な物腰の文章です。

ただ、非常に申し訳ないのですが、当店はまだギフトラッピングに対応できていないのです。

お中元の時期ですし、コーヒーを贈りたかったのかもしれません。
そう考えると、大事な機会を逃してしまったようにも思えます。

このお方には、丁寧に御詫びをしました。

ギフトラッピング、考えないといけませんね・・・



コーヒーの味を作る ~焙煎でどのように味を作るか~


ひこうき雲

世の中にはたくさんの自家焙煎店があり、それぞれ個性的な風味のコーヒーをお客様に提供しています。

でも、まったく同じ味だということはありませんよね。

コーヒーは焙煎することによって褐色になります。

この色の濃さで、「焙煎度」というものを定めています。

(焙煎度は厳密には”L値”という明度によって数値化されていますが、多くの自家焙煎店では「自分なり」に決めてしまっています^^)

当然、焙煎度が違えば風味は違うのですが、中には焙煎度が同じなのに風味が違う、そんなコーヒーもあると思います。

コーヒーの味は、焙煎度だけで決まっているわけではありません。
焙煎度はあくまで目安に過ぎず、実際の風味はどのように焙煎したかによって大きく変わってきます。

今回は、私が新しい豆を入手して、新商品としてリリースしようとしている状況を想定して、どのようにコーヒーの味を決めるのかを紹介したいと思います。

★1 一番最初の焙煎:浅め、短時間焙煎で、豆のポテンシャルと焙煎時間の限界を探る

まずはお試しの焙煎です。
可能な限り短時間で焙煎を行います。
焙煎度はミディアムロースト。

ここでの目的は、風味の乗り方の確認と、生焼けになる限界を探ることにあります。
コーヒーは、焙煎時間を短くすればするほど、酸が強くなります。
しかし、短くなりすぎると生焼けの味が残ってしまいます。

ただ、生焼けが悪いわけではなくて、完全に焼いてしまうと消えてしまう、コーヒーの旨味がここに含まれているので、
エグくならない、心地よく頂けるポイントを探ることが重要です。
美味しくなる焙煎方法は、豆の地域によって条件に一定の傾向があるので、過去に経験のある条件を試してみて、
うまくいけばその方法を採用し、エグ味が乗るようなら焙煎条件を変更していき、ちょうど良いところを見つけます。

★2 浅煎りに仕上げるか、深煎りに仕上げるか

最初の焙煎で、ちょうど良い(エグ味のない)酸の強さにできたら、次に焙煎度をどうするか考えます。
すべてのコーヒーは、浅い焙煎では酸が強く残ります。
しかし、すべてのコーヒーの酸味が美味しいとは限りません。

少なくとも自分は、酸の質によってえり好みします(笑)

例えば・・・
ケニヤコーヒーは、非常に綺麗な柑橘系を連想させる酸味なので、浅めの焙煎で酸味のコーヒとして販売しています。

コロンビアコーヒーの酸味は、自分があまり好きではないので(笑)、しっかり焙煎して、酸とその他の風味のバランスを取っています。
でも、酸は残す方向で焙煎します。

インドネシアのマンデリンは、酸の強いコーヒーも美味しいですが、独特の風味を楽しむために深煎りにします。

ちなみに、ケニヤ、コロンビアのコーヒーは深煎りでも美味しいです。
でも商品として表向きはリリースしていません。
(裏メニューです(笑))

★3 風味を生かすか、苦味を乗せるか

短時間焙煎で酸味を乗せたコーヒーは、どの焙煎度でもまろやかで風味よく仕上がります。
もちろんこれがLUA CHEIAの一押し風味になるのですが、お客様によってはもっと苦いコーヒーが欲しい、
そんなご要望もあったりします。

そのために、焙煎初期の条件を調節して、どこまで味を変えられるか確認します。
基本的には、マイルド風味を苦くしていくための調整なのですが、
時には、この段階でびっくりするくらい美味しいコーヒーに巡り合えることもあります。

このようにして、それぞれのコーヒーの次焙煎条件を定めています。

ただ、この一連のプロセスを行うのは1回だけではありません。

季節ごとに、焙煎条件が微妙に異なってくるので、季節を通してなるべく一定の味になるように、
定期的に条件の見直しを行って、少しでも安定した味のコーヒーを提供できるよう心がけています。