6月15日、世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(IARC、本部フランス・リヨン)は、コーヒーについて「発がん性がある可能性を示す決定的な証拠はない」との調査結果をまとめたそうです。
「WHOコーヒー発がん性証拠なし」(共同通信)
http://this.kiji.is/115789891720232963
コーヒーについてはコホート研究の結果「特定のがんに対して有意差がある」事がわかってきています。
(コホート研究:特定の要因に注目して発生した、発生しないを大規模かつ長期間にわたって比較する調査。注目していない要因による発生を排除する様に一定の調整を行う)
以下、国立がんセンターから発表されている調査結果を列挙。
○有意差あり(リスク低下)
コーヒー 肝臓がん
『コーヒーをよく飲んでいる人で肝がんの発生率が低い』
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/274.html
コーヒー 子宮がん
『コーヒーをよく飲んでいる人ほど子宮体がんの発生率が低い』
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/329.html
コーヒー 大腸がん(女性のも有意差あり、男性には有意差なし)
『コーヒーは女性の浸潤結腸がんを予防』
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/302.html
コーヒー 膵がん(男性のみ有意差あり)
『男性のみにおいて、ほとんど飲まないグループに比べ、よく飲むグループほどリスクが低くなる』
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/306.html
ただし、膀胱がんに対しては、特に非喫煙者でコーヒー飲用によるリスクは上昇するようです。
○有意差あり(リスク上昇)
コーヒー 膀胱がん
『非喫煙者でコーヒー、カフェイン摂取量が高いほどリスクが高くなる』
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/339.html
これはコーヒーが原因というより、カフェインの摂取が原因のようですね。
カフェインを多く含む栄養ドリンクも要注意ですかね?
また、有意差の見られないがんもあります。
○有意差なし
コーヒー 胆道がん
『コーヒー摂取と胆道がんのリスクの間に関連は認めなかった』
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3746.html
コーヒー 甲状腺がん
『男女ともにコーヒー摂取と甲状腺がん発生との間には関連を認めなかった』
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2829.html
この他の部位ついては、調査結果がありませんでした。
では、すべてのがんの死亡について、コーヒー飲用による有意差はどうかというと、、、
心疾患死亡、脳血管疾患死亡、呼吸器疾患死亡については、コーヒー摂取による危険度の有意な低下
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3527.html
どうやら有意差は無いようです。。。
ゲノム調査等で特定のがんにかかるリスクが分かっている人が、一生懸命コーヒーを摂取する努力をするのには反対しませんが、全般的に「がんを防ぐために」コーヒー飲用を奨励することは意味のないことだと言えそうです。
今日のお話で、私が強調したいことは、
・コーヒーは薬ではない
コーヒーの薬理作用は研究されてすでに600年くらいの歴史があります。
カフェインはコーヒーから分離された成分ですが、コーヒー自体は研究し尽くされており、新しい効果はもはや出てこないと思われます。
それにもかかわらず、これだけ多くの注目を集めているのは、ひとえに「商業的規模が大きい」事が要因です。
ダイエットに効果があると、マスコミが謳えばバナナや納豆ですら商品棚から一瞬で消えます。
コーヒーは歴史的にも益と害の両方の荷を負わされた経緯のある飲み物です。
中立を保とうと思えば、WHOも慎重に発言せざるを得ないのでしょう。
・あくまでも統計的有意差なので、人によってリスクの程度は全然違う
専門機関がどんなに指摘したところで、消費者は「自分には効くかも」と思いがちです。
端的に言えば、どんなに効果を謳ったところで、薬でない以上は「基本的には効いていないと思うべき」
つまり、こんなことで一喜一憂しているより、楽しく人生を送るように心がけた方がよっぱど健やかな生活を送れると思いますよ、ということを強調したい。
これからも、楽しむためのコーヒーを提供していきたいと思います。
皆様の素敵な人生のお供に、一杯のコーヒーを。。。
それでは!