美味しいコーヒーの産地 ~インドネシア~


エチオピア、イエメン、インドと来て、次はインドネシアです。
コーヒーの歴史にはイスラム教とその地域の歴史が深く関係していますが、インドネシアのコーヒーはヨーロッパ人の手により商業目的で移植され、そして発展を遂げてきました。
そのせいもあって、比較的容易に史実を調べることが可能です。

1658年 インドネシア スラウェシ島 オランダ東インド会社が移植を試みる
1680年 インドネシア ジャワ島 イエメン・モカからコーヒーの苗木が移植される
1696年 インドネシア バタヴィア(ジャカルタ)にプランテーションが設置された
1706年 ジャワからアムステルダム植物園にコーヒーの木が届く。
1715年 この木の種子が1715年頃スリナムで育てられ、フランス領ギアナへ伝わった。
1731年 オランダは一時的に停止していたセイロン島でのコーヒー栽培を再開する。
1880年頃 セイロン島のコーヒーはさび病で壊滅し、島では茶の栽培が始められた
     ジャワ島のコーヒーもさび病で壊滅し、従来植えられていたアラビカ種に代えて病虫害に強いロブスタ種が栽培されるようになる。

歴史を見ると、インドネシアで育てられたコーヒーの木がヨーロッパの王室付き植物園に献上され、そこから大西洋を経てアメリカ大陸にコーヒーが伝わったことが判ります。
インドネシアのコーヒーは、コーヒー史の一つの転換点とも言えるのではないでしょうか。

上記年表の最後にあるように、19世紀後半~20世紀初頭に伝染病の一つである「さび病」が流行し、壊滅してしまいます。その後に植え直されたコーヒーは「カネフォラ種ロブスタ」と呼ばれるコーヒーで、それまでのアラビカ種と異なり、低地でも育ち、病害虫に強い特徴を持ったものでした。

しかし、ロブスタは風味的にはアラビカ種より劣り、取引額は非常に安くて、主に工業用加工品(缶コーヒー、添加物)として利用されています。

現在のインドネシアでは、生産量の90%がロブスタ、10%がアラビカです。

わずか10%のアラビカ種ですが、インドネシアのコーヒーは世界的にも特別なコーヒーとして扱われる高い品質を誇っています。

有名なのは
・スマトラ島の「マンデリン」
・スラウェシ島の「トラジャ」

があります。

風味ですが、浅煎りではベリーのような甘酸っぱさが感じられ、
深煎りにするとチョコレートフレーバー、またマンデリンには独特の土の風味が感じられます。

この風味が世界中のコーヒー愛好家を魅了してやまないのですが、この風味の由来はインドネシア独自の生産処理方法にあります。
他の国のコーヒーは、収穫後に果肉月のまま乾燥させるナチュラル製法、果肉を除去して殻を水洗いする水洗式製法がありますが、スマトラのマンデリンは、種の殻も最初に取り除き、生豆の状態で乾燥させます。
この方法は、雨の多いインドネシアで、いかにコーヒー豆を乾燥させるかを考慮した結果生まれた製法ですが、この方法がコーヒーに独自の風味を与え、世界中に愛好家を増やしています。


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