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コーヒーの味を作る ~焙煎でどのように味を作るか~


ひこうき雲

世の中にはたくさんの自家焙煎店があり、それぞれ個性的な風味のコーヒーをお客様に提供しています。

でも、まったく同じ味だということはありませんよね。

コーヒーは焙煎することによって褐色になります。

この色の濃さで、「焙煎度」というものを定めています。

(焙煎度は厳密には”L値”という明度によって数値化されていますが、多くの自家焙煎店では「自分なり」に決めてしまっています^^)

当然、焙煎度が違えば風味は違うのですが、中には焙煎度が同じなのに風味が違う、そんなコーヒーもあると思います。

コーヒーの味は、焙煎度だけで決まっているわけではありません。
焙煎度はあくまで目安に過ぎず、実際の風味はどのように焙煎したかによって大きく変わってきます。

今回は、私が新しい豆を入手して、新商品としてリリースしようとしている状況を想定して、どのようにコーヒーの味を決めるのかを紹介したいと思います。

★1 一番最初の焙煎:浅め、短時間焙煎で、豆のポテンシャルと焙煎時間の限界を探る

まずはお試しの焙煎です。
可能な限り短時間で焙煎を行います。
焙煎度はミディアムロースト。

ここでの目的は、風味の乗り方の確認と、生焼けになる限界を探ることにあります。
コーヒーは、焙煎時間を短くすればするほど、酸が強くなります。
しかし、短くなりすぎると生焼けの味が残ってしまいます。

ただ、生焼けが悪いわけではなくて、完全に焼いてしまうと消えてしまう、コーヒーの旨味がここに含まれているので、
エグくならない、心地よく頂けるポイントを探ることが重要です。
美味しくなる焙煎方法は、豆の地域によって条件に一定の傾向があるので、過去に経験のある条件を試してみて、
うまくいけばその方法を採用し、エグ味が乗るようなら焙煎条件を変更していき、ちょうど良いところを見つけます。

★2 浅煎りに仕上げるか、深煎りに仕上げるか

最初の焙煎で、ちょうど良い(エグ味のない)酸の強さにできたら、次に焙煎度をどうするか考えます。
すべてのコーヒーは、浅い焙煎では酸が強く残ります。
しかし、すべてのコーヒーの酸味が美味しいとは限りません。

少なくとも自分は、酸の質によってえり好みします(笑)

例えば・・・
ケニヤコーヒーは、非常に綺麗な柑橘系を連想させる酸味なので、浅めの焙煎で酸味のコーヒとして販売しています。

コロンビアコーヒーの酸味は、自分があまり好きではないので(笑)、しっかり焙煎して、酸とその他の風味のバランスを取っています。
でも、酸は残す方向で焙煎します。

インドネシアのマンデリンは、酸の強いコーヒーも美味しいですが、独特の風味を楽しむために深煎りにします。

ちなみに、ケニヤ、コロンビアのコーヒーは深煎りでも美味しいです。
でも商品として表向きはリリースしていません。
(裏メニューです(笑))

★3 風味を生かすか、苦味を乗せるか

短時間焙煎で酸味を乗せたコーヒーは、どの焙煎度でもまろやかで風味よく仕上がります。
もちろんこれがLUA CHEIAの一押し風味になるのですが、お客様によってはもっと苦いコーヒーが欲しい、
そんなご要望もあったりします。

そのために、焙煎初期の条件を調節して、どこまで味を変えられるか確認します。
基本的には、マイルド風味を苦くしていくための調整なのですが、
時には、この段階でびっくりするくらい美味しいコーヒーに巡り合えることもあります。

このようにして、それぞれのコーヒーの次焙煎条件を定めています。

ただ、この一連のプロセスを行うのは1回だけではありません。

季節ごとに、焙煎条件が微妙に異なってくるので、季節を通してなるべく一定の味になるように、
定期的に条件の見直しを行って、少しでも安定した味のコーヒーを提供できるよう心がけています。



自家焙煎店への道


かや

コーヒー自家焙煎店を最初から目指してはいなかった。

そうなんです。LUA CHEIAは最初、コーヒーとは関係ないことをやっていました。

ある日の事、ビジネス関係でつながりのある人から

「コーヒーを輸入してみないか?」

と言う話が舞い込んできました。

コーヒーは好きだったものの、そんなに詳しいわけでもないし・・・
でもとりあえず話を聞いてみたんです。

コーヒー生産国で、日本に輸出するルートを探っている業者がいるとのことで、生産国の政府の後押しも受けているらしい。

現地の責任者が日本を訪問するので、そのタイミングで会って話を聞いてみました。

色々と話をしましたが、どうやら焙煎した豆をブランドとして販売したいらしい。

とりあえずサンプルに焙煎した商品(コーヒー豆)と、生豆を1ポンド(約450g)頂きました。

焙煎した豆を知り合いのカフェに持ち込んで試飲してみたのですが・・・
試飲に参加した方からの感想は、

「こりゃあダメだね」

「コーヒーじゃなくて、別の物を検討したら?」

とまあ、酷評だったわけです。
確かに、自分で飲んでみてもあまり美味しいとは思いませんでした。
でも・・・そんな酷評するほどじゃないよな・・・

当時はまだ自分で焙煎していませんでしたが、とりあえず生豆を焙煎してみようと思い、
ハンドロースターと呼ばれる手回しの焙煎機を購入、何となく焙煎してみたのです。

始めて焙煎したコーヒーを自分で飲んでみると・・・

美味しい!

焙煎で味が変わることを実感した瞬間でした。
日本人と、外国人の好みの味は違う事も判ったのです。

コーヒー豆輸入の話は残念ながら流れてしまいましたが、
美味しいコーヒーを自分で作り出せる楽しさを覚えてしまった私は、
ますますコーヒーの焙煎に、のめり込んでいきました。

振り返ってみても懐かしい、
2012年の秋ごろのお話です。

実は最初に出来たコーヒーはまぐれで、その後全然美味しくないコーヒーを焙煎し続ける、
コーヒー焙煎の苦難の道が待っているなんてつゆ知らず・・・(^^ゞ

その辺のお話は、また機会があったら書こうかと思います。



コーヒーの風味検討


風味検討用

風味検討用

コーヒーの味は、常に一定であるのが理想なんですけれど、

実際のところはそうでもありません。

日々の焙煎でのブレはそれほど大きくはない(つもり)ですが、

自分が理想とする味に100%到達しているかと言うと必ずしもそうではないわけで・・・

リリースしている商品は、

「これくらいなら、他の人に勧めても大丈夫」

と言う条件をクリアしているものの、100%と言うわけではありません。

もっと良い風味をのばせると判った段階で、味は徐々に変えていってます。

ただ、常連のお客様もいらっしゃるので、急に変えるわけではなく、次回からこんな風にしますよ、
とサンプルを送って確認してもらってから変えたりしています。
お客様ごとに焙煎を変えているので大きな影響はないですが、やはり自分が一番納得している味を提供したいとは思っているので。

今の自分の状態では、ゆっくりと理想の味を検討する時間もなかなか取れないのですが、

今回思い切って、いままで保留にしてきた課題に取り組んでみました。

それが、画像の4種類のコーヒーです。

左上:ケニヤ / キリニャガ
(酸味の綺麗なコーヒーだが、もっとキャラメル風味を乗せられるか)

左下:グアテマラ / エル・インヘルト・トラディショナル
(マイルドな酸味が美味しいコーヒー、キリニャガとの比較用)

右上:コロンビア / ナリーニョ
(現在販売しているものはフルーティーな酸味を残しているが、酸味を消してコーヒーらしくしたい)

右下:インドネシア / マンデリン
(深煎りコーヒーの販売に向けた検討、苦みを上手く表現したい)

コーヒーの種類とお題です。

コーヒーの焙煎は、豆ごとによってレシピが異なります。
種類ごとに条件を定めて、自分の思惑通りの風味ができたかどうか確認。

昨日焙煎したばかりなので、風味確認は今日行う予定ですが、豆をかじってみた限りでは、
大体は上手くいっているかなと。

ただ、マンデリンは苦み少な目かな・・・
もっと苦いコーヒーにしたいんだけれどな。

酸味の綺麗なコーヒーから、ガッツリと苦いコーヒーまで、ラインナップを増やしていけるよう頑張ります。