品質の良いコーヒーの方が長持ちする(仮)


「コーヒーは鮮度が命」
 
「焙煎してから日が経っていないコーヒーの方が美味しい」
 
だからすぐに消費すべき。
 
今や常識になりつつある、コーヒーの鮮度重視論。
 
コーヒーも食品である以上、鮮度というものがあります。
 
コーヒーが最も風味良く美味しく頂けるのは、焙煎してから大体3日後。
その後は徐々に風味が落ちていきます。
 
では、どの程度たったら「もう美味しくない」状態になるのでしょうか?

ここは、今まではっきりしてきませんでした。
 
焙煎の具合、元のコーヒー豆の状態などによってかなりのばらつきが出てしまって、一定の傾向を掴めないのです。
 
それでも、自分の経験上だんだん判ってきたことがあります。
 
それは、
 
「高品質のコーヒーはかなり長持ちするようだ」

私はコーヒーの自家焙煎店を運営する関係上、大量のコーヒー豆の在庫を持っています。
そのほとんどはスペシャルティーコーヒーです。
 
焙煎豆の一部は、売れ残りなどによって長期間保管することになることもあります。
(販売用の豆は、1か月を目途に新しい在庫に切り替わりますが)
 
自分が家飲み用にしているコーヒーは、そんな型落ち品がほとんど。
中には半年前のコーヒーもあります。
 
しかし、「これは飲めない」というコーヒーには滅多に遭遇していません。
逆に、「時間が経ったら落ち着いた味で、意外とおいしい」というコーヒーはしょっちゅう出会います。

では、数少ないダメコーヒーは何だったのかというと、
 
・(実験で焙煎した)コモディティーコーヒー
・(研究用に購入した)スーパーの安いコーヒー
 
以上!
自分で焙煎したものでなくとも、他のショップで購入したスペシャルティーコーヒーは時間が経っても十分に美味しい。
 
つまるところ、「コモディティーコーヒー」は長持ちしないんじゃないのかな?
 
そういう傾向が見えてきました。
 
理由については簡単に考察できます。
 
コモディティーコーヒーとスペシャルティーコーヒーでは、風味成分の含有量にかなり差があって、コモディティーコーヒーの方が風味の枯渇が早いのではないかと。
自分の経験では、コモディティーコーヒーを焙煎したら、焙煎後大体1か月後には限界かなと感じることが多いです。
 
一方でスペシャルティーコーヒーの場合は、半年後でも「まだいける」と判断することが多いです。
(もちろん当初の風味はかなり飛んでしまっていますが、それでもまだ美味しいという意味です)
 
ということは、安いコーヒー(=コモディティーコーヒー)ほど鮮度に神経質になる必要があり、スペシャルティーコーヒーほど鮮度に無頓着(言い過ぎ?(笑))でも問題ないということでしょうか?
 
もちろん販売側がこれではだめだと思いますが(^^; 購入する側の方は、スペシャルティーコーヒーの方が保管期間の心配をする必要がないのは確かと言えるかもしれません。
 
もちろん、風味は徐々に落ちていきますので、最高に美味しいコーヒーを飲みたいのならば、できるだけ早い期間に飲み切るのが賢明です。
 
スーパーのコーヒーと、私が扱うスペシャルティーコーヒーの価格差は、量だけで比べれば10倍近い差がありますが、風味の良さと、今回の考察結果を考慮すれば、私のコーヒーにはお値段分の価値は十分にあると思います。



一番旨い(美味い)コーヒーの品種って何だろう?


しばらく記事更新が滞ってしまいました。
 
日々忙しいですが、春になったことですし心を入れ替えて?記事の更新頻度を上げていきたいと思います。

 
で、早速のお題ですが「コーヒーの品種」で一番美味しいのはなんだろうね?

豆の品種ですよ。ブランドではなく。
 
実はこの質問「かなりの愚問」であることを、あらかじめお断りしておきます。
 
そもそもコーヒーは嗜好品ですので、好みなんて人それぞれ。
 
それに、コーヒーの風味は生産処理方法によっても変わってくるので、豆の品種だけでの優劣はつけられない。

さらに・・・

大部分のコーヒー豆生産地では、複数の品種を収穫し、混合して出荷しているので、一般に単一品種のコーヒーを飲む機会ってあまりないんですよ。
 
単一品種のコーヒーを飲みたかったら、サードウェーブコーヒーを専門に扱っている自家焙煎店などに行って確認するのが一番確実だとは思います。
 
ただ、マイクロロット農園でさえ、複数の品種を混ぜている場合がありますけれどね。
 
私が扱っているコーヒーも大部分が、農園で複数の品種をブレンドしています。
例えば、一番人気「タンザニア/モンデュール」は・・・

品種:N39、KP423

・・・

なんのこっちゃ? と思われるかもしれませんが、立派な品種名です。

タンザニアの「リャムングコーヒー研究所」と言うところで、タンザニア各地のコーヒー農園からサンプルが集められ、その中から選抜された優良品種につけられた名前です。コードネームのようなものでしょうかね。
 
現在タンザニアでは上記2種は「伝統的品種」という位置づけになっているようです。
つまり、豆の品種に「伝統種」のような記述があったら、「ああ、N39かKP423だね」と思えばよいのです。
うっかり人に知識を披露しても、ほとんどの人には判ってもらえないと思いますが・・・
 
話を戻しますと、このように複数の品種を混合するのが一般的で、単一品種を味わう事は基本的に非常に少ないということです。
 
そんな中、私が扱うコーヒーで単一品種の豆がありました。

それは「ティピカ」です。
ティピカはコーヒーの原種に近い種で、非常に風味豊かな事で知られています。しかし、生産性が低く、病害虫に弱く、生産地域が限られるなどの制約が多く、現在は非常に生産量が少なくなってしまいました。
 
そんな中、「コロンビア/ビジャ・ファティマ」はティピカ単一豆のブランドとして知られています。
ただし、一番おいしいか?と言われると少々事情は異なってきます。
 
風味は複雑で、スパイシーな風味に柔らかな酸味、すっきりとした後味と、豊かで奥深い味わいのコーヒーですが、カフェスタンドなどでブレンドコーヒーになれてしまった人には、正直好まれない味かなと思います。
 
私の扱っている豆の中でも、それほど人気がある方ではありません。
 
じゃあ、一体何の品種が一番いいんだよ? 

そんな声が聞こえてきそうですが・・・

そうですね。。。

敢えて一つ挙げるならば、「ゲイシャ」でしょうか?
 
「芸者」ではありません。ゲイシャです(笑)

2004年にパナマのエスメラルダ農園が「ベスト・オブ・パナマ」というパナマの国際品評会で1位を獲得し、一気に人気種になりました。

ゲイシャ種は、エチオピアで発見された原種で、現在では世界各地で栽培が進んでいます。

ただね・・・ゲイシャだからって何でも良いというわけではなく、やはりエスメラルダ農園のゲイシャが一番おいしいです。
お値段は、ビックリする程高いですが・・・
 
私も一応取り扱っていますが、基本的に販売はせず、イベントでゲリラ的に提供することがほとんどですね。
美味しいけど高すぎて、評価しずらいんですね・・・

結局何が言いたいのかと言うと、
 
コーヒーのおいしさは「品種(だけ)で決められるものではない」という事を一番言いたいです。
 
品種で選ぶのもアリと言えばアリですが、それ以外にも美味しさを左右する要素が沢山あります。
 
ですので、色々なコーヒーを試してみるのが良いのかと。。。

ということで、今回はこの辺で。



コーヒーとチョコレートの相性


バレンタインデーですね!
 
コーヒーとチョコレートは、何故か昔から相性が良いと決まっているような気がします。
 
ですので、相性が良い!
 
・・・
 
これでは何にも話が発展しないので、少し突っ込んでお話ししましょうか。
 
チョコレート、一見どんなコーヒーでも相性がよさそうですが、実はそうでもありません。
 
チョコレートとの相性がイマイチなコーヒーも、実はあります。
 
特に、最近のスペシャルティーコーヒーを浅目に焙煎したものは、単独で飲むと美味しいのですが、ミルクやチョコレートとは合わないものが結構あります。
 
ではどういったコーヒーがチョコレートに合うのでしょうか?
 
それを探るために、簡単な実験をしたいと思います。
 
まず、コーヒーを普通に淹れます。
そのコーヒーを、少し冷まします(別の容器に少し取り分けて冷ましても良いです)。
 
その覚ましたコーヒーを、大きめのティースプーンですくい、勢いよく口で「ズー」っと吸い込みます。
口の中に霧状のコーヒーを吸い込むイメージです。
 
何をしたいのかと言うと、コーヒーの香り、味を細かく探ってみたいのです。
 
このように霧状に吸い込むと、普段は見逃しがちな微妙な風味を探ることが出来ます。
 
この風味の中に、ミルクやチョコレートに似た風味を見つけ出せれば、そのコーヒーはミルクやチョコレートとの相性が良いです。
 
一方で、柑橘系の風味が強いコーヒー(特に浅煎りのコーヒー)は、ミルクやチョコレートに似た風味を見つけられず、相性がイマイチな場合があります。
 
チョコレートと言っても、普通のチョコレートはカカオの含有量は30~40%位で、砂糖と乳脂肪分が成分の大半を占めます。
これだと、チョコレートとの相性と言うよりは乳成分との相性と思った方が正確かもしれません。
 
本当にカカオの含有量が高いチョコレートは、チョコ自体の風味が非常に強くて、普通のコーヒーはチョコに負けてしまいます。
要は相性が悪い。。。
 
このようなカカオ成分の含有率が高いチョコレートに合うコーヒーがあります。
それは「モカ」です。
 
モカコーヒーとは、エチオピア、イエメンが産地のコーヒーを総称して指す言葉で、その昔イエメンにあったコーヒーの集積港である港街「モカ」に由来しています。
 
これらのコーヒー(エチオピア産、イエメン産)はフローラルな風味が特徴で、何故かチョコレートの独特の風味とぶつかることなくお互い風味を補完し合ってくれます。
 
余談ですが、カフェモカ、モカジャバという飲み物がありますが、これはコーヒーとチョコレート、牛乳を混ぜたもので、モカコーヒーがチョコレートのような風味を持っていることから、それに似せて作られたのだそうです。
 
チョコレートとコーヒー、今一度相性を調べて見てはいかがでしょうか?