美味しいコーヒーの産地 ~イエメン


エチオピアがコーヒー発祥と言われていますが、実はイエメンをコーヒーの発祥とする伝説もあります。

いずれにせよ、イエメンはコーヒーの歴史には欠かせない重要な地域です。
モカコーヒーの名は、かつてイエメンの「モカ港」にコーヒーが集積されて出荷された事にちなんでつけられた名です。
(現在は砂に埋もれて、港としての機能はありません)

モカ港には、エチオピアとイエメンのコーヒーが集められました。
そもそも、15世紀まではこの限られた地域でのみ、コーヒーは生産されていたのです。

現在モカコーヒーと呼ばれるものは、

・モカ・シダモ(エチオピア)
・モカ・ハラー(エチオピア)
・モカ・マタリ(イエメン)

このように、産地名を後ろにつけて区別しています。
もちろん、モカを名乗れるのはエチオピア産、イエメン産コーヒーのみです。
ただし、イエメンのモカ・マタリは必ずしもマタり地方のコーヒーを指すわけではなく、イエメン全地域のコーヒーを指して呼ぶようです。
(もっと高級なイエメン産コーヒーには、村の名前が付きます。)

イエメン産コーヒーは、品種改良種ではなく、コーヒーの原種そのものが現在も栽培され続けています。
風味はモカコーヒーに特徴的な、浅煎りならベリーのような甘酸っぱい香りを有し、深煎りはとてもすっきりとして、
チョコレートの様な余韻が残ります。

イエメンのコーヒーは、標高が1000~3000mの斜面を利用したり、ワジと呼ばれる涸れ谷の周辺で栽培されています。
大規模な農園はなく、家族経営の小規模な農園で、コーヒーは栽培されています。
イエメンの山岳に暮らす部族は誇り高く、先祖伝来の土地を他人に売ることなく伝承し続けているのです。
また、畑の一部で穀物や野菜なども作って自給自足の生活を送っています。

コーヒーの生産技術も伝統的なもので、収穫したコーヒーは天日で乾燥した後に石臼で周囲の果肉、殻を取り除きます。
すべて手作業のため、生産量は限られ、したがってイエメンのコーヒーは他の産地よりもはるかに高値で取引される貴重な物です。

現在、イエメンは内戦状態にあり、コーヒーの供給も殆ど止まってしまっています。
日本にも限られた量しか入荷されず、ますます貴重なコーヒーとなりつつあります。

一日も早く内戦が落ち着いて、美味しいコーヒーが安定して供給できるようになることを願っています。


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